VERDI: La Traviata
Dresdner Philharmony, Lisette Oropesa(Soprano)
La Traviata = 道を踏み外した女。日本では『椿姫』という名前が付けられているこのヴェルディの代表作でしかも最も人気のあるオペラが初演は大失敗だったというのには驚くばかりだけれども、蝶々夫人とかカルメンも初演は不評だったというしオペラの場合は演出の良し悪しにも相当左右されるのでしょう。このオペラの場合は高級娼婦の純愛という筋書きが当時のヨーロッパ社会に受け入れられなかったということも理由だったとされている。ともあれ、数あるオペラの中でも音楽とプロットが見事にマッチしていて、そこで歌われるアリアがほとんど名曲というのは稀で、長いために滅多にオペラ見に行かない私も生で見るのが苦痛でないオペラのひとつ。全体で二時間というのも気に入っている。
La Traviataの新録音というのは意外と少なくてここ五年間で6000枚強視聴した新録アルバムの中でもゼロのような気がする。しかも、その前にしてもほぼオペラの録音は多くがライブ録音。その中ではこのアルバムはセッション録音でもあるというところがまた珍しくもある。演者だけでなくレーベルのペンタトーンも相当気合を入れたのが窺えるかなりの高音質レコーディングに仕上がっている。
Violletta役のLisette Oropesaはオペラ歌手にしては随分と細身だなあと思いながらホームページを見ていると彼女はVeganだということがわかりなるほどそれでこんなにスリムなのかと納得。さらに、かなりのマラソンの愛好者でもあるとのこと。
そんな彼女の一幕から二幕、そして三幕で最後に息を引き取るまでの心の変化に応じて変えていく声の表情が結構な聴きどころでもある。