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うたうたい 堺輝

ロクでもない歌

2012.11.27 12:45

数年前、バンドのアルバムの写真を撮影してもらっていた時のことです。

当時からプロのカメラマンとして活動していた方なんですが
その撮影の合間の休憩中だかに
彼がおもむろに携帯を開いて、一枚の写真を見せてくれました。

とても素敵な写真で
素直に賞賛の言葉を述べました。

すると彼は
「この携帯のカメラで撮った写真だよ」
と言いました。

今でこそスマートフォンには
何百万画素の解像度を誇るカメラが搭載されていて
何年か前に買ったデジカメなんかのはるか上をいくクオリティです。

ですが当時の携帯に付いてるカメラは
今思えば申し訳程度のものだったかも知れません。

そんなカメラでも、素敵な写真は撮れる。
要はアングルと編集技術だと彼は言いました。
インスタントカメラで撮っても同じ、って。

たまに師匠が僕のギターを弾くと、
「何でこんな音が鳴る?!」みたいな音がします。

文字通り、「鳴らしてる」という感じ。


どこの世界にも共通することだと思います。
「弘法、筆を選ばず」という言葉も有りますもんね。


思えば、便利な世の中に生まれてきたんだと思います。
CDを買うのに苦労したと言ったって、お金さえあれば買えるんですもの。

録音だって
ちょっとした機材を買えば、
それなりのものが録れてしまいます。

僕にはそんな技術ないですが、
パソコン一台で、ミックスまで出来ちゃう時代です。



でも、
その大本のうた自体がダメなら、
いくら僕がそれ以外の技術を身につけたって無駄です。

歌をつくる人に限らず、
「もの」を「創る」人はいつもそんなことを考えて生きてるんだと思います。

自分から出て来たものを、我が子に喩えるのは
大げさでもなんでもありません。
本当にそんな気分なんです。

第一線にいる人というのは
そういう信念を持ち続けてる人だと思います。

第一線が明確に、どこかは僕は知りません。
紅白歌合戦に出るような人かも知れないし
今夜もお客さんのまばらなライブハウスで歌ってる人かも知れません。

ただ、紅白に出る人の中に偽物もいるし
ライブハウスに本物がいる場合もあるって思います。

仮に、それがしょーもない歌だったとしても
その人がまさに血と汗と涙の結晶として生み出したものであれば
それは馬鹿にされるべきものでも、卑下されるものでもありません。

なんでこんな話書こうと思っていたのかすら
忘れてしまいました。

多分、自分に対する警鐘なんだと思います(笑)



中途半端なもん創るなよ、俺。






って意気込むと、ロクな歌出来ないんだよなぁ。。。

ロクでもない歌の方がウケがよかったりするもんなぁ。。。

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