「ファインシュライト」に問い合わせ多数
9月にリリースした、薄膜高断熱材「ファインシュライト」に対して、さまざまな企業から問い合わせをいただいています。
ファインシュライトは、当社のコアコンピタンスである高分子材料技術を応用し、空気が動けないほど微細な、ナノサイズの小さな穴を持つ高断熱フィラー(シリカエアロゲル)を塗料化した製品です。
不織布、成形樹脂などの基材にコーティングすることで、静止空気以上の高断熱性を発揮する薄くて柔軟、非常に画期的な断熱材となっています。
ファインシュライトは、Fine(きめ細かい)+insulate(断熱)+light(軽い)を組み合わせた造語で、「微細で軽い高性能断熱材」を表現しています。
※ファインシュライトのロゴ
開発経緯
はじめは、グローバルで開発が加速する「電動車(EVなど)」への対応製品として、開発に着手しました。
自動車が電動化すると、あらゆる動力を電力でまかなうことになるため、航続距離を長く保つためにも、いかにエネルギーを温存するかが課題になります。
ファインシュライトを車内に設置することによって、冷暖房の省電力化につながりますし、そもそも薄膜で軽量である点も省エネに貢献します。
狭い隙間や空間にも設置でき軽量であるという大きな利点があることから、リリース後は、熱対策が必要な家電、住宅、保冷ボックスなど幅広い企業・業種からお問い合わせをいただきました。
リリースの目的
これまでは、製品として完成形になってから、リリースなどの方法で社外の皆さんへお伝えしてきました。
しかし、受注から製品化まで2~3年かかる自動車用品とは違って、一般産業用品はコラボレーションする相手によっては、すぐにでも製品化に結びつきます。
従来は、自ら使用用途を考え製品化していましたが、今回は、「住友理工にはこんな技術・製品もありますよ、興味がある方(企業)はお問い合わせください」ということを伝える目的で、配信してみました。
すると、やはり断熱の性能を探している企業が多く、大変うれしいことに、多くのお問い合わせをいただく結果になったのです。
採用事例:コロナ禍のフードデリバリーに貢献
現在、コロナ禍においてフードデリバリーサービスのニーズが急増しています。
寒くなってきたこの季節、利用者の満足度向上のために、食品をより長く保温することが必要となります。
そこで、エステー株式会社と株式会社オルセンが共同開発したフードデリバリー専用温熱シート「HEAToGo(ヒートゥーゴー)」の専用パッドにファインシュライトが採用され、先日発表しました。
85℃の料理が30分経っても70℃以上の保温力があるということで、中日新聞にも大きく取り上げてもらえました。
不織布以外にもさまざまな基材に応用が可能なため、今後は、用途や分野を限定することなく、さらなる製品展開を見据えた開発を進めていきたいと思います。
熱マネジメント領域での技術・製品開発は、当社が目指す「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」につながると考えています。
今後も、人々の暮らしにおける快適性の向上、エネルギー効率の向上に貢献していきたいと思います。