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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

近代アジアの動乱10-インド大反乱

2022.07.13 11:35

1857年インドでイギリスに対する「セポイの反乱」が起きた。イギリスは原産国のインドまで綿製品を売りつけ、イギリスの家内工業的な綿工業を崩壊させた。手工業は農家の副業だったので、農村も疲弊し、英インド総督は「木綿織布工の骨はインドの平原を白くしている」と述べるまでの有様だった。

セポイとはイギリスに雇われたインド人傭兵で、上流ヒンドゥーとムスリムから成っていた。イギリス本国ではより性能の高いエンフィールド銃に変わったが、この薬包には牛の油と豚の油が使われていた。この銃がセポイにも使われるという噂が立ち、ヒンドゥーもムスリムも宗教的禁忌のために団結した。

ムガール皇帝バハドゥール・シャー2世は、イギリスに宣戦布告し、反乱はインドの3分の2に広がった。皇帝はデリーに入ったが、皇帝自身はあまりやる気がなく乗っただけだった。そしてやはり急ごしらえの統一軍は、宗教的民族的対立によってうまくいかず、イギリス軍の兵器に敗れてしまう。

イギリスは、インドの小藩主国を味方につけ、ネパール兵を動員して、同年9月にデリーを奪還、皇帝はあっさりイギリス軍に投降した。地方の反乱は翌年まで長引くが、イギリスは何とか鎮圧し、皇帝を退位させ、ここにムガール帝国は消滅、58年インド統治法によってイギリスが直接統治することになった。