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野花のグラス(Making)

2022.07.14 01:10

「野花のグラス」はどうやって作られるかのぞいてみませんか?


吹きガラス【M-Makiko Yoda】→←サンドブラスト【S‐glass.saori】の2人の作家間を行ったり来たりしながら、たくさんの工程を経て作られています。


M【玉台づくり】

吹きガラスは、こんなドロドロの状態のガラスからつくります。
粘着具合でいうと…はちみつくらいでしょうか?
スプーンですくって、くるくるしてテーブルに落ちないようにするあの感じです。

吹き竿という長いストローのような棒にくるくるすることで、垂れないように調整してつくります。

窯からだして、冷えていく過程で、成形していきます。他の工芸と違うところは、「絶対に触れない」事。1300℃ですから!

重力・遠心力・わずかな器具、を操り、冷めて固まる少しの温度差を目視でコントロールしながら制作するのが吹きガラスです。


①外被せの玉をつくる

野花のグラスの足元の台は、「外側に」色がついた玉がもとになっています。


吹きガラスで均一な色ガラスを作るときは、通常、「内側に」色が入ります。
サンドブラストで削り落とす加工するのは外側のため、外側に色持ってくる必要があります。

---さてどうすると思いますか?



仕組みはこうです。

・・・うん、言うは易し、行うは難しです。


ぐにゃぐにゃのガラスの中心を一定のスピードで均一に回転させながら、中心をとりつつ、適度な高温を保ち(成形できるくらいの柔らかさで)速やかに作業を進めていきます。

途中の工程で、アワが入ったり、色がよれたり、色ガラスが厚すぎたり…の可能性も高く、作品に使えるガラスに仕上げるのは、ベテランの技なのです。

(最後に簡単な動画で紹介していますのでお時間ありましたらご覧ください。いとも簡単にやっているように見えますが、これが難しい。←尊敬!)


M【玉台】②一晩ゆっくり冷やす(徐冷)…成形して、そのまま置いておくと、パーーンっと割れます。徐冷炉という専用の窯で徐々に冷やすことで割れを防ぎます。


S【玉台】③サンドブラストのマスキング

…花・葉のひとつひとつ手作業でカットし、張り付け。

玉はまるいのですが、シールは平面。
普通の貼り方だと空気の圧力ですぐはがれてしまいます。
湾曲に合わせ、圧力で吹き飛ばない大きさ、細さ判断し、マスキングします。
後で一つずつはがしながら加工するので、ビタっと張り付けるのもNG。程よい粘着具合が大事です。

S【玉台】④サンドブラスト

まず、色味の部分のみ残して高圧の砂を吹き付けて削り落とす。
色味を半分残してみたり…色々試しましたが、きれいに発色させるために余分な色はすべて落とし、光を多く取り込むことにしました。
色ガラスの厚みもあるので削り落とすのに、かなり時間がかかります。

モチーフ部分は、段彫り(何度も砂をかけなおすことで色味の濃淡を出す)で重なりやぼかしを表現。砂の荒さ(番手)や、圧力も変えながら丁寧に。砂やガラスの粉が飛び交う視認性が悪い作業なので、色をわずかに残す加減も熟練の技が必要です。


S【玉台】⑤磨き・ブラッシング 専用の研磨シートで仕上げます。


Mさん【玉台】⑥底の研磨(削られたところを、もう一度輝きを取り戻すまで数段階の研磨器を変えて透明に戻す。

切子の研磨と同じです。・・・より光を下から取り込み色がきれいに見える効果があります。

また、わずかに底を上げて削ってあり、置いたときに安定するように工夫されています。

かなり手間をかけたこだわりの仕上がりです。

(左が研磨後← 右がサンドブラストしたままの底)


Mさん【カップ】①飲み物を入れる本体部分。カップの成形。

素朴で柔らかな野花のグラスのシルエットを形作るカップの成形はMakiko Yodaのセンスと腕のなせる技。

薄すぎず、厚すぎず、大きすぎず、小さすぎず…とても使いやすいです。(私はこれで晩酌の楽しみ感が倍増しました。)


飲み口の口当たりの加減なのか、飲み物がまろやかに感じる気がします。

ハンドメイドならではの味わいだと思います。

Mさん【カップ】研磨

台との接着部分を水平に研磨します。(水平にするのも難しいです)


Mさん【カップ&玉台】接着 特殊な接着でしっかりくっつきます。


→完成!


贈り物にお使いいただけるように、野花のグラスの大きさに合わせた1個入りの木箱を奈良県にある木箱職人の会社に制作してもらいました。


「かわいい~。」「こっちのほうがいいかな。」「こんな感じ?」「2色もできる?」


吹きガラス(ガラスをつくる)×サンドブラスト(ガラスを装飾する)

ひとくちに「ガラス」工芸といっても、歩いてきた道のりは違います。

1人なら、20年分+20年分=40年近くかかる(かもしれない)グラスが、一緒につくることで、形になりました。

お互いのできる技術を持ち寄って、また新しい形アイディアを試しながら、野花のグラスは出来上がりました。私たちのワクワクも詰まった作品です。


「今日は、あれを使おうかな!」と日々の生活の中で、ちょっとした幸せを感じるひとときのお供になれれば嬉しいです。

ぜひお手元で、ご友人や大切な方と共にお楽しみください。


(メイキング動画 1分30秒ほど)



Written by saori