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えんとつ町のプペル 方言版

えんとつ町のプペル愛媛(伊予弁)版

2018.01.26 10:11

後編

   



つぎの日、ルビッチはアントニオたちにかこまれてしもうた。

「やい、ルビッチ。デニスがかぜでたおれたんよ。

ゴミ人間からもろうたバイキンが原因やないんか?」

「プペルはちゃんとからだを洗うとるよ。バイキンなんかおらん!」

「がいなうそをついとる!きのうもあのゴミ人間はくさかったやないか。

おまえの家は親子そろうてうそつきや」

たしかにプペルの体はどがいに洗うても、つぎの日にはくさぁなっとった。

ルビッチにはかえすことばがなかったんよ。

「どしてゴミ人間なんかとあそんどるんよ。空気をよまんかい。おまえもコッチに来いや」


かえりし、トボトボとあるくルビッチんとこにプペルがやってきたんよ。

「なぁ、ルビッチ。あそびにいこうや」

「‥‥‥またくさぁなっとるやんか。ほのせいで、ぼくはきょう、学校でイジメられたんよ。

なんぼ洗うてもくさぁなるキミの体のせいで!」

「ごめんなぁ、ルビッチ」

「もうキミとは会えんのよ。もうキミとはあそばん」


ほれから、ふたりが会うことはないなった。

プペルはルビッチと会わんなって体を洗うこともないなって、

ますますよごれてしもうて、ハエがたかってしもうて、どんどんきしゃなく、どんどんくさぁなってしもうた。

プペルの評判はわるぅなるいっぽうよ。

もうだれもプペルにちがづこうとせんのよ。


あるしずかな夜。

ルビッチのへやの窓がコツコツと鳴った。

窓に目をやったら、そこには、すっかりかわりはててしもうたプペルの姿があったんよ。

体はドスぐろく、かたほうの腕もないんよ。

またアントニオたちにやられたんやろう。

ルビッチはあわてて窓をあけたんよ。

「どしたん、プペル?ぼくらはもう‥‥‥」

「‥‥‥イコウや」

「なんいいよん?」

「いこうや、ルビッチ」


「ちょっとまってや。どうしたっていうん?」

「いそがんと。ぼくの命がとられるまえにいこうや」

「どこにいくんよ」

「いそがんと、いそがんと」


たどりついたんは、ひとりもよりつかん砂浜。

「いこうや、ルビッチ。ほれ乗り」

「なんいいよんよ。この船はこわれとるけんすすまんよ」

おかまいなしにプペルはポケットから大量の風船をとりだし、

ふうふうふう、ふうふうふう。

「おいプペル、なんしよん?」

ふうふうふう、ふうふうふう。

「いそがんと。いそがんと。ぼくの命がとられるまえに」

プペルはふくらませた風船を、ひとつずつ船にむすびつけていったんよ。


船には数百個の風船がとりつけられたんよ。

「いこうや、ルビッチ」

「どこに?」

「煙のうえ」

プペルは船をとめとったロープをほどいていうた。

「ホシをみにいこうや」


風船をつけた船は、ゆっくりと浮いていくんよ。

「ちょっとだいじょうぶなん、コレ!?」

こんな高さから町をみおろすんは、はじめてやね。

町の夜景はとてもきれいやった。

「ほれ、息をとめて。そろそろ煙のなかにはいるけん」

ゴオゴオゴオゴオ。

煙のなかは、なんもみえん。ただただまっくら。

ゴオゴオっていう風の音にまじって、プペルの声が聞こえる。

「しっかりつかまるんよ、ルビッチ」

うえにいけばいくほど、風はどんどんつよぉなっていった。

「ルビッチ、うえみてみぃ。煙ぬけるで!目ぇつむったらいけんよ」

ゴオゴオゴオオオオ。


「‥‥‥父ちゃんはうそいいちごとった」

そこは、かぞえきれんほどの光でうめつくされとった。

しばらくみよったら、プペルがいぅた。

「かえりしな、風船を船からのけたらいいんやけど、いっぺんにのけたらいけんよ。

いっぺんにのけたら急に落ちてしまうけん、いっこずつ、いっこずつ‥‥‥」

「なにいよん、プペル。いっしょにいぬんやろ?」

「キミといっしょにおれるんも、ここまでじゃ。

ボクはキミといっしょに『ホシ』みれてほんとよかったわい」


「なにいよん。いっしょにかえろ〜や」

「あんなぁ、ルビッチ。キミが失くしたペンダントを、ずっとさがしよったんよ。

あのドブ川のゴミはゴミ処理場にながれつくけん、

きっと、そこにあるとおもいよったんよ」


「ボク、ゴミ山で生まれたゴミ人間やけん、ゴミをあさることは、なれとるんよ。

あの日から、まいにちゴミんなかをさがしたんやけど、なんちゃみつからんかって‥‥‥。

十日もあれば、みつかるんおもぅたんやけど‥‥‥」


「プペル、そのせいでキミの体は‥‥‥ぼく、あんだけヒドイことしてしもぅたのに」

「かまんよ。キミがはじめてボクにはなしかけてくれたとき、

ボクはなにがあってもキミの味方でいようと決めたんよ」

ルビッチの目ぇから涙がこぼれた。

「ほんで、けっきょく、ゴミ処理場にはペンダントはなかったんよ。

ボクはバカだったわ。

キミが『なつかしいニオイしよる』いよったときに気ぃつくべきやった」

プペルは頭のオンボロ傘をひらいた。

「ずっと、ここにあったんよ」


傘んなかに、銀色のペンダントがぶらさがっとった。

「キミが探しよったペンダントはココにあったんよ。ボクの脳ミソやわい。

なつかしいニオイのしょうたいはコレやったんやな。

ボクのひだり耳についとったゴミがないなったとき、ひだり耳が聞こえんなってしもぅた。

おんなじように、このペンダントがないなったら、ボクは動かんなる。

ほやけど、このペンダントはキミのもんやわい。

キミとすごした時間、

ボクはほんとにしあわせやったよ。

ありがとうルビッチ、ほんじゃあねバイバイ‥‥‥」

そういうて、プペルがペンダントをひきちぎろうとしよったときやった。


「いけん!」

ルビッチがプペルの手をがいにつかんだ。

「なにしょんよ、ルビッチ。このペンダントはキミのもんやん。

ほれに、このまんまボクが持っとっても、そのうちにアントニオらにちぎられて、

こんどこそほんとにないなってしまう。

ほしたらキミは父さんの写真をみれんなる」

「いっしょに逃げたらえかろ〜」

「バカなこというなや。ボクといっしょにおるとこをみっかったら、

こんどはルビッチがなぐられるかもしれんぞ」

「かまんよ。痛みはふたりでわけたらいいんよ。せっかくふたりおるんやけん」

エンディングに続く……