『拗ねた兎④』(続•臣隆妄想劇場117)ショートバージョン
2018.01.29 23:00
ラジオの収録が終わり、自宅に着いた時には夜中の2時を過ぎていた。
ベッドルームのドアをそっと開ける。
真っ暗な部屋で月明りに照らされて、
ベッドの左半分がこんもりしている。
隆二(頭から布団被って爆睡中か…)
そっとドアを閉め、先に手洗いとうがいを済ませる。
(あのマッサージの夜から、ろくにキスもしていない…)
洗面のミラーに映った自分の唇を見ると、薄っすら縦にシワが入っている。
(ほら見ろ…枯れてきた…)
(ちゃんと毎日愛情を注いでくれないと、寂しくて、うさぎみたいになったらどーすんだよ…ったく)
スウェットのポケットに入れていたリップクリームを取り、さっと唇に塗った。
(待ってろ!寝込みを襲ってやる)
珍しく隆二は悪そうな顔をして、足音を立てずにベッドルームへ入っていく。
ベッドの右側から布団の中に入り、
うつ伏せになっている臣の肩を持つと、パフっと萎んだ…
隆二「え?萎ん……」
慌ててベッドサイドの明かりをつけた。
隆二「げっ⁉︎ウサギ……」
いきなり兎のお面が、目に飛び込んできた。
びっくりして布団をめくってみると、
厚手のダウンジャンパーが胴の部分に、
縦長のソファークッションが二つ、
足の位置にあり、
枕の上に白いウサギのお面が置いてあった。
あの『LUXE』で使った小道具の…
怖いウサギのお面だ…
そっとお面を持ち上げてみると、
枕に直接テープで、白いメモが貼ってあった。
『急用ができた。4〜5日帰らない』
「…んだよ…急用って…」
(ま…た、しばらく会えないのに…あのバカ…)
隆二は眉間にしわを寄せ、叫んだ…
「拗ねた兎…!どこいった?」
完
次回『孤独』近日公開予定です。