Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

The Weekend Traveler

タクシー三昧、北東北移動

2022.07.18 07:03

八戸から三沢に向かう事になった所以。

この日の目的地の十和田に向かうバスがまさかの運休でどん詰まり、観光局のおじさんがサクサク案内してくれて青い森鉄道になった次第。あまりのサクサク案内にこれは同様の被害者が日常的にいるとみた。

青い森鉄道に乗れたのはいいのだけど、次なる難所は三沢から乗り換えゼロ分のバス乗り継ぎタイムトライアル。


どっしゃぶりの雨の中、果敢にもこのヒリヒリ超えの乗り換えに挑む40の女2人。


バスロータリーで呆気なくバスを見送って予想通りの完敗を喫す。


無力感を飲み込んで、せめてタクシーは逃すまいと行き先までの料金を聞いて乗り込む。

もうほんとに海外と同じ戦法しか通用しないのか、青森県の交通事情。


タクシーで45分くらいかな、ようやく目的地の十和田市現代美術館に到着。

雨だし、タクシーでよかったよね、と吹っ飛ばした5000円強を正当化する。

そんなこんなで辿りついた十和田市現代美術館は青森きってというか東北きっての名美術館とのうわさ。

出迎えたのは巨大なおばさま。

旅先の予習しない事でおなじみの私なので、初見でたいそう驚く。

スタンディング ウーマンという有名な作品。



おばさんてデカいと怖いのね。

お尻の質感とか腕の血管とかシミとか本当に精巧ですごいんだけど、なんでおばさんをデカくしようとしたのか作者に聞いてみたい。

現代アートってほんと不思議な世界で、やったもん勝ち感というか作家の強烈な意志に強引に納得させられる感がある。


ひさびさにそんな世界に身を浸す。


しかし雨の日の美術館巡りは一際贅沢な時間に感じる。

オノヨーコ作のりんごの木のアートも雨でこの様。

オノヨーコってそう言えばアーティストだったんだね。ジョンの隣にいるばっかじゃなかったんだね。

なんて失礼こきながらずんずん進む。

庭のポップな巨大オブジェも雨の中でエヴァ感というか使徒感というか、不気味な存在感。

光の橋だったか、そんな名前のスペイン人アーティストの作品。

どっかの結婚式場にありそうだな、なんてこれまた失礼な感想を抱きつつ、さくさく見て回る。

そんな現代アートを斜めから楽しむ私たちの頭とハートを射抜いた作品がこちら。

韓国出身アーティストの肩車のマチョメンで作られたシャンデリア。の様なオブジェ。

見上げると天井まで続くマッチョな肩車。

その果てしない作業とあまりに完璧な構図にもはや狂気さえ感じる。

アーティストってさ…一言で言うと変態だよね…


と言う結論を感嘆のため息と共に吐き出してこの部屋を後にする。


こういう強烈な作品に出会う度に美術館ってよいな、アートって面白いな、思考って自由だなと幸せな気分になる。

雨がひどすぎて外の展示はほぼアウト。

雨の中で一際不敵な奈良美智のこども。

企画展は動画の方が楽しいような内容なので割愛。

企画展のインスパイアお菓子などで休憩。

こういう水玉に支配されたアートだったな。

ところで、美術館のお姉さん達がやたらと色白の美人揃いで驚く私たち。

青森県産ごぼうサンドがとても美味しい事とレジのお姉さんの透明感、どっちも特筆事項。

ラスト、体験型アートを楽しみ美術館はおしまい。

美術館のほぼ目の前にバス停はあるのに、バスの本数が少なくて結局、またタクシー。

美術館でタクシー会社一覧の資料を渡され、電話して来てもらう。


公共交通機関とタクシー会社が結託してんじゃないかってくらい絶妙にタクシーしかない、って瞬間が訪れる。

美術館からは定額4000円で新幹線の駅に向かう。

ここでもまた、雨だし荷物あるしタクシーで正解だよね、と声に出して納得し合う2人。

日本一の非密駅と思われる七戸十和田駅から盛岡まで50分くらい新幹線に乗る。


指定席のみって書いてあるのに、


自由席ってありますか?


はい。


じゃあ、それで。


という謎やり取りを友が駅員さんと交わし、自由席のチケットを買う。

仙台以北の路線で発動されるJR東北のローカルルールらしい。


自由席切符で指定席に座って無事に盛岡に到着。

冷麺の自販機がお出迎え。

盛岡駅のフォントが特徴的って事で見に行く。

確かに…

駅名明朝体はなかなか渋いぞ。

城下町プライドか、何かしらの意志を感じる盛岡駅の看板。

さて、バスに振られ、電車に翻弄されてタクシーに救われた北東北の移動も盛岡で一旦終わり。


関東の常識もまたローカルルールでしかない事を実感。

予定外の出来事をリスクと呼び、日々回避する事に労力を割いてきたけれど、旅においてはそれもまた体験であり学びであり出会いである事が往々にしてある。


これだから旅はやめられない。


北東北の旅は続く。