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サメとゾンビと空伏空人

『Mr.ノーバディ』

2022.07.18 12:15

 派手に、キレる。っつうが、実際そのキレかたは「ぷっつん」なキレかたではなく、「ストレス発散」なキレかたである。あ~ムカつく~~!! というより、あ~きもちええわ~~!! なキレかた。サウナに通えばいいのに。

 本邦では「ジョン・ウィックの脚本家作品」として売り出され、俺の中では「ハードコアの監督作品」として有名な本作。実際、どっちの感覚が強いかと言えばどっちの感覚もちょうど良く味わえる。ジョン・ウィックのノリでハードコアの暴力を見れるのである。
 『ハードコア』に関しては『アリス・イン・ゾンビーランド』を読んでいる読者ならば、「カメラがまあまあ揺れるので結構普通に酔うPOV」として紹介しているのを知っているだろう。あれである。知らねえって言うなら今から買って読もう。1430円です。

 『ハードコア』の暴力ってどんな感じ? と聞かれたら説明するのもまあまあ面倒なので、映像は映像を見ておけと監督が担当しているMVを貼る。俺はこのバンドが好きなので、ついでに宣伝できるって寸法よ

 内容に関しては「実はすごい系のおじさんが無双する」というあのジャンルである。おじさんは大体事件に巻き込まれたりするのだが、今作のおじさんは「日々にストレスを抱えていて、そろそろ発散したいと思っているおじさん」だから非常にたちが悪い。なにせ通報しようとしている人に通報しないでくれ。と頼むぐらいなのである。
 なぜかってそりゃあ、思いっきりぶん殴れないからだろ。ストレス発散するための大義名分が欲しいんだよ、おじさんは。だから「銃弾が入ってない脅し目的の拳銃」や「子供のための仕方なしの凶行」には暴力が振るえずにつらい顔をする。

 俺だって、俺だって暴力が振るいたいのに!

 なので暴力を振るい終えたあとの目はとてもキラキラと純粋に輝いている。四万十川を流れる清らかな水のように。本当に気持ちよかったのだろう。ストレスを抱えて暴れる大義名分が欲しかっただけのおじさんの暴力劇。悪役にもかなり同情的になれちゃうぜ!