第2回十字軍4-またも起こったユダヤ人虐殺
2018.01.30 03:22
第2回十字軍が出発するときには、第1回でも起こったユダヤ人迫害、虐殺がまたもライン地方で起こった。1146年、ルドルフというシトー会修道士が、十字軍のアジテーションを各地で行い、そのときにユダヤ人を虐殺すべきと言ったと伝えられる。
1147年2月、ヴュルツブルクで巡礼者たちが集まっているときに、バラバラ死体が発見され、これがあたかもユダヤ人がやったこととなり、巡礼者たちは、街に居たユダヤ人を虐殺しはじめ、止まらなくなった。このような事態は各地で起こり、生き残りは皇帝の庇護を求めて、ニュルンベルクに逃れたとのことだ。
これを救ったのは、シトー会の聖ベルナールである。彼は、書簡をあちこちに送り、このルドルフが間違っていることを述べた。その理由というのは、ユダヤ人は、ある意味キリストの受難の証人であり、キリストを殺した罪を購っている最中なので、人の手で罰することは許されないということだった。なかなか微妙な理由であるが、この時代の公式見解。
しかしともかく、ベルナールの言葉の威力は絶大で、その後ユダヤ人虐殺は止んだようだ。聖ベルナールはユダヤ人の側からも、神が送ってくれた人として感謝されている。今日、アメリカのトランプ大統領が公然と人種差別を口にし、イスラム難民が攻撃される「分断の時代」に入ったといわれる。あまり社会が遅れた過去の時代というわけにはいかなくなった。