安藤瑠美写真展「TOKYO NUDE」
2022 年 8 月 11 日(木.祝) ‒ 8 月 28 日(日) 木・金・土・日のみ営業
安藤瑠美写真展「TOKYO NUDE」
2022 年 8 月 11 日 ( 木 ) より写真家の安藤瑠美氏の個展「TOKYO NUDE」を開催致します。
本展では都市と建築をテーマとした写真作品「TOKYO NUDE」シリーズから約 10 点を展示
致します。同じく都市の再生をテーマとして、ゴミ処理場を撮影したシリーズ「dream
islands」からも一部作品を展示予定です。
TOKYO NUDE
写真のデジタル加工によって窓、室外機、広告物などを消去した“ 裸の” 都市を表現したシリーズです。作家はレタッチによって街の“ ノイズ” を消去し、東京の特異なランドスケープを象徴的に浮き上がらせるとともに、見慣れた都市風景から新たな驚きを生み出しています。
世界的なパンデミックを経て、同じ空間を共有して過ごす相手と同等に、空間を超えたオンライン上でも重要な関係で結ばれることが日常化した現在、東京の実空間はバーチャル化した都市のように映ります。建造物の表層が剥がされて箱の群れとなった東京の姿は、そうした虚構の都市のイメージとリンクしています。
このシリーズにおいてレタッチは、修正や補正を前提にした裏方の技術ではなく表現の一部として現れています。作品上に残されたレタッチの存在感は、これまで私たちが意識したことのなかった違和感をもたらしています。こうしたレタッチの用いられ方自体にも注目すべき点があるでしょう。
作家は加工を通して写真の隅々にまで視線を巡らせ、発見や経験を蓄積していきます。体感の異なる撮影とレタッチの両方を経る制作過程で「“一枚の写真に対する理解度” が高くなる」と言う写真感覚は独特なものです。一方で多くのことが写真からは消去されている相反性もこの作品のユニークさです。
dream islands
東京都から出た大量のゴミを埋め立てた「夢の島」と称されるゴミ処理場を撮影したシリーズです。この都心の果てに出現した“ 新たな大地=フロンティア” が、その名前の印象とはかけ離れて終末感を漂わせる一帯であったことを、客観的というよりむしろ冷静な主観によるフラットさで写真に収めています。
展示する2点では、ランドスケープが持つ景観・印象といったイメージの表層を剥がし、自身の眼で捉えなおそうとする撮影者の態度が垣間見えます。そこには“ 一般的” な認識と自己の認識のギャップからスタートし、規定されたなかだけで思考することとは異なる、世界の把握への試みをみることができます。
無意識に溶け込んでいる慣習的な認識を取り払い、見えにくい実態の地表を掬い取るこれらの作品たちはディストピア的な不安さをともなうイメージでありながら、視覚的に惹きつける強度があります。
安藤氏の最新作「TOKYO NUDE」と過去作「dream islands」の2つのシリーズは、都市生活の実態や、都市の新陳代謝が残したものと共に生きていく人がいるというリアルさについて思考された作品です。
都市の生まれ変わりが人間性の豊かさの発展にとってどんな影響をもたらすかについては様々な議論があるかと思います。本展が再開発の進む札幌市において多様な視点を挿入するきっかけとなる機会になれば幸いです。
安藤瑠美
1985 岡山県生まれ
2010 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業
2019 THE REFERENCE ASIA : PHOTO PRIZE優秀作受賞
現在、フォトグラファー・レタッチャーとして活動中
instagram : @andytrowa
企画 : 所 敏正
Tokyo Art Beat : https://www.tokyoartbeat.com/events/-/2022%2Frumi-ando-tokyo-nude
IMA : https://imaonline.jp/news/exhibition/20220815/
大通情報ステーション : https://www.sapporo-info.com/event/detail?id=100144
【安藤瑠美写真展「TOKYO NUDE」】
〇会期
2022年8月11日(木・祝)~8月28日(日)
※OPEN:木・金・土・日曜日
〇営業時間
10:30-20:00〈ラストオーダー19:30〉
〇会場
TO OV cafe / gallery
ト・オン・カフェ/ギャラリー
札幌市中央区南9条西3丁目2-1マジソンハイツ1階
(地下鉄「中島公園駅」より徒歩1.5分)
お問い合わせ 011-299-6380