Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

青鷺 Grey heron ベンヌ(Bennu)

2024.11.09 08:06

青鷺 Grey heron

ベンヌ(Bennu)、ベヌウ、ベヌとは、エジプト神話に伝わる不死の霊鳥。


http://herons-egrets.sakura.ne.jp/enjoy_egrets.html 【サギ観察】より

サギ観察の楽しみ

サギ類の観察は楽しい。恐竜の子孫を彷彿とさせる現代の翼竜アオサギ。水辺のプリマドンナ、ダイサギ。夏の田園の風物詩チュウサギ。亜麻色の髪の貴公子アマサギ、コミカルな道化師コサギ、藍と藤色の芸術品ゴイサギ。これらのサギはよく同じような場所でコロニーを形成しますが採餌場所や採餌方法はそれぞれ異なっており、興味は尽きない。干潟や河口でよく見かけるのはアオサギ、ダイサギ、それにコサギ。ほぼ田んぼが専門のチュウサギやアマサギはあまり干潟や河口で見かけることはありません。田んぼはサギたちのお気に入り場所で6種類全てのサギをよく見かけます。アマサギは水がはられた田んぼの中まで入ることはあまり見かけず、もっぱらあぜ道を好むようです。ゴイサギは夜行性なので昼間は田んぼではあまり見かけませんが、子育て時期の春から夏にかけては田んぼで採餌する姿を観察できます。

アオサギ

全長90-98cm。 4亜種がある。日本に生息するのはArdea cinerea jouyi。愛知県では留鳥であり、干潟、河口、田んぼで一年中見かける。なんといってもその堂々たる風格は他のサギを圧倒する。(写真) 飛ぶと白っぽいグレーと濃いグレーのコントラストが鮮やかである。(写真)羽ばたきはゆっくりとしており羽ばたき速度はダイサギとほぼ同じかまたはより遅い。北米大陸にはGreat Blue heron(和名 オオアオサギ)が生息する。このオオアオサギについては羽ばたき回数の研究結果があり、1秒間に2.3回~3.2回、羽ばたく。(McAllister & Maxwell 1971)。我が日本野鳥の会愛知県支部では2013年にダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギの羽ばたき回数を計測したがその際にダイサギで2.8回~3.0回という結果を得た。アオサギについては計測結果がないが、経験上、ダイサギとほぼ同じかやや遅い印象を受ける。アオサギが羽ばたく際は体全体がシーソーのように小刻みに揺れる。夕方から夜半にかけて飛ぶ姿をよく見かけ、暗やみの中で「グワーッ」と一声鳴くことがある。夏の暑い日中、羽をたたんだ状態で胸をはだけるような姿勢で日光浴をすることがあり、真夏の炎天下、1時間以上その姿勢でじっとしている個体を見た。(写真)日中は活発に動き回ることは少なくときには一日中ほとんど動かない個体もいる。そんな個体は夜に採餌にいくと思われる。夜間は日中よりも活発に動くのかもしれない。コアジサシのコロニー上空に飛来してヒナを物色するアオサギの個体を見たときはおもわず「おいおい」と思った。このときのアオサギはまるでキングギドラに見えたが、戦闘機のようなコアジサシの編隊に迎撃されて飛び去っていった。他のコアジサシコロニー近くの干潟でも採餌中のアオサギにさかんに単独で攻撃をしかけるコアジサシを見たがこのときはブルーインパルスの曲芸飛行のごとく急上昇、急降下を繰り返していやがるアオサギに攻撃、(写真)さすがのアオサギも参ったように飛んで行った。コアジサシのヒナか卵に対して相当な悪さをしたのであろうか。コロニー以外では単独で採餌することが多いがエサの多いところでは集まっていることもある。特に6月~7月の巣立ち時期にはエサの豊富なところでは大群になる。(写真) 秋の渡りの時期に数十羽が群れで峠を越えて飛んでいくところを見たという目撃例がある。コロニーまたはねぐらへの帰巣はたいてい単独である。魚類、両生類、爬虫類、小哺乳類、小鳥類などさまざまなものを食べる。エサの少ない時期には採餌中に他のアオサギが近づくと追い出し行為もする。愛知県では3月頃から繁殖行動が始まる。(営巣写真)他のサギ類よりは1か月ほど早い。木の高いところに好んで集団営巣する。愛知県のある営巣地ではカワウの大コロニーに隣接している。(写真) カワウはアオサギよりも営巣時期が早いためカワウの営巣に年々追い出されることになって、すぐとなりの樹林地にアオサギコロニーが形成されたのである。営巣地選択も早いもの勝ちなのであろう。白いサギと異なり、若い個体と成鳥の区別がつくため個体の年齢識別がある程度可能であり(成鳥写真)(幼鳥写真)(第1回冬羽写真)それもまたアオサギ観察の面白さだ。冬羽ではクチバシがくすんだ色になり特に上クチバシは黒味を帯びる。(冬羽クチバシ写真) 営巣中、カラスが卵を狙って巣に近づくと頭頂の羽を逆立てて威嚇する。このときのアオサギの顔は鬼の形相であり大変に怖い。茨城県のサギ研究者である益子氏によるとアオサギの営巣は他のサギよりも時期が早いため他のサギをコロニーに呼び寄せる誘因になるそうである。         

ダイサギ

        

全長85-102cm。4亜種がある。日本に主に生息するのはArdea alba modesta。(写真 亜種チュウダイサギ)。日本、韓国、東南アジア、オーストラリアからニュージーランドにかけて分布する。亜種Ardea alba alba(写真右 亜種ダイサギ )はユーラシア大陸の広い地域で繁殖し、日本では冬鳥とされる。愛知県でも冬場に見かける。アオサギよりも大きいことと、脛から下方にかけて黄白色なのがチュウダイサギとの識別点である。タイミングよくアオサギと並んでくれるとアオサギよりも大きさの違いでよくわかるが、なかなかそんないい場面には出会わないため見逃している可能性もある。夏場に見かけたという情報は今のところないのでやはり冬鳥なのだろう。この亜種ダイサギは主にヨシ原にも営巣するらしい。(Cramp & Simmons 1977)。チュウダイサギのほうはもっぱら中~高木の上のほうに営巣する。高速道路コロニーで繁殖するのは勿論このチュウダイサギである。この白くて美しい大きなサギは夏の時期、田んぼ、河口、干潟でよく映えてまるでバレエのプリマドンナのようである。足が長いので水辺の結構深いところまで入ってゆっくりとした動作で魚を探す。そんなときはよく長い首を斜めに傾けた状態で歩く。(写真)(写真)そのほうが水中がよく見えるためだろうか。魚類、爬虫類、両生類などをよく捕える。カワウの群れが集団追い込み漁を始めるとその集団を追いかけるように飛んでは舞い降りて魚を取る。(写真 カワウ集団とダイサギ&コサギ)。しかし大抵の場合、カワウの迫力に圧倒されて物欲しげに見ているだけのことが多いようである。体格は雌雄差、特に体重差がありオスのほうが大きい。(Herring, 2008) 田んぼにいて全身が見えないときはチュウサギと見間違えることがある。夏羽になると背に飾り羽が現れ、目先は宝石のようなエメラルドグリーン色になって大変に美しい。(写真) コロニーでは背中の長い飾り羽を立てて美しい求愛ディスプレイをする。飛翔するとき、チュウサギとの識別は慣れないと非常に難しい。(写真)慣れてくると雰囲気でわかるようになる。冬場にあまり田んぼで見かけないのはエサがあまりないからであろう。愛知県では藤前干潟で冬場によく見かける。夏羽では黒いクチバシも冬羽では黄色になる。(冬羽写真)。それにしても何故これほどまでに白くて目立つように進化したのだろうか。アオサギは干潟では濁った水の色と同化して見づらいこともあるがダイサギは数百メートル先からでもそれとわかるほど目立つ。集団でコロニーを作りやすいように目立つ色に進化したのかもしれない。コロニーでの営巣の順番としてはおおむねアオサギの次に早い。

チュウサギ

 

全長65-72cm。東南アジア、インド、アフリカ、オーストラリアにかけて広く分布。3亜種がある。日本に生息するのはEgretta intermedia intermedia。日本には東南アジア方面から4月中旬頃に渡ってくる。環境省レッドリストでは準絶滅危惧種に指定されており、その名の通り中型のサギである。(写真)チュウサギの優雅な求愛ディスプレイ (写真)(動画)は見るものを魅了する。チュウサギのオスはコロニーの木の枝に止まって背中の飾り羽をまるでクジャクのように広げつつ、胸にもあるフサフサとした飾り羽を前に突き出すよう上を見る。次にカクンと足を曲げた反動で枝ごと体を下方向に沈める。このとき背中と胸の飾り羽は下方向への動きによって風になびいてふわりと揺れる。こんな美しい舞いをされてはメスはイチコロであろう、と思いきやこのディスプレイをいくら続けてもなかなかペアになれないオスがいる。どんなオスがモテるのか非常に興味深い。おそらく飾り羽の美しさとこの優雅な舞いの見事さがモテ度に影響を及ぼしているのか。背中の飾り羽を広げるだけのディスプレイや首を前に突き出すしぐさのディスプレイもよく見かける。8月頃から抜け落ちた長くて美しい飾り羽をコロニー近くで拾うことが出来る。夏の田んぼの風物詩ともいえるこのチュウサギは青々と伸びた稲穂の先からよくチョコンと頭だけ出している。(写真)干潟に出ることはほとんどない。田んぼ、ハス田をこよなく愛し、昆虫類、カエルやドジョウなどをよく捕えて食べる。(写真)飛翔する姿はサギの中でも最も均整がとれていて、いわばサギの原形のようなスタイルである。(写真)夏鳥であり毎年4月中旬の初認時期にはコロニーのシーズン到来を感じることが出来る季節感のある鳥である。5月のGW頃に求愛活動が最も活発になり8月終わり頃に個体数はピークとなる。この時期の夕方、よくアマサギと混群を作ってねぐらに飛来する。このときアマサギの冬羽・幼鳥個体を識別できないと混群を全てチュウサギと誤認する可能性が高い。9月頃になると個体数は徐々に減り10月の半ばにはいなくなってシーズン終了とともに秋の到来を感じる。本州中部以南では越冬個体もいるらしい。愛知県では正式な越冬例の報告はないようである。田んぼとの結びつきが非常に強く、冬の田んぼはカラカラに乾いたところが多いため、干潟とか河口を利用しない本種にとっては日本の冬はやや住みづらそうではある。冬期灌水田んぼ(いわゆる冬みず田んぼ)が増えてくれば越冬個体も増えてくるのかもしれない。

        

コサギ

 

全長55-65cm。日本、朝鮮半島から中国、インド、東欧、中欧、西欧、アフリカ、東南アジア、オーストラリアにかけて広く生息。6亜種がある。日本に生息するのはEgretta garzetta garzetta。(写真)北米、南米にはコサギによく似た別種のSnowy egret(和名 ユキコサギ)が生息する。 コサギは日本では留鳥であり水田、干潟、河口など浅い水辺を好む。頭の2本の冠羽と黄色いスリッパをはいたような足指が特徴的なこの小型のサギは面白い採餌で知られる。干潟や田んぼの浅い水辺に入って水中で足を プルプルと震わせる。そしてびっくりして泥の中から出てきた生き物を捕えて食べる。足指が黄色いところが他のサギとの識別点だが、泥から飛び立った個体は足指に泥がついて黄色に見えないことがありこうした個体が春から夏にかけての探鳥会で出現するとコサギだチュウサギだとサギ論争が起こる可能性が高い。飛ぶ姿はサギの中で一番不格好というかアンバランスであるがそこがまたコサギのかわいらしさである。夏羽では後頭部に数本の冠羽が現れる。(写真)冠羽は冬場には取れてなくなる(写真)が冬場でも冠羽があったり、繁殖期でも冠羽がない個体がいたりする。若い個体かもしれないが年齢識別はおおむね困難である。(幼鳥写真)婚姻色の時期はコサギ観察がいっそう面白くなる。まるでお酒を一杯のんでいい気分にでもなったかのごとく、目先がほんのりとピンク色に染まり、黄色い足指までピンク色になる。胸には結構太く見える飾り羽も現れる。求愛ディスプレイではコロニーの枝に止まって首を天に向かって突き出すようなしぐさを時間を空けて繰り返す。(動画) コロニーへのねぐら入り時はチュウサギやアマサギほどの大群にはならないようである。ねぐら入りで飛来する他のサギの群れに混じることがあり、そんなコサギを識別出来たときは何となく誇らしい気分になれる。繁殖期を過ぎると水が張られた田んぼを集団ねぐらにすることがある。ある満月の夜、水田の真ん中で数十羽のコサギが身を寄せ合って眠る姿を見た。さざ波ひとつない水面にぼんやりと白く映るコサギの影と青くやわらかく降り注ぐ月の光が溶け合い、まるで別世界のような浄夜の風景を紡ぎ出していた。

        

アマサギ

 

全長50-56cm。東南アジア、インド、アフリカ、北米、中米、オーストラリアにかけて広く分布。2亜種がある。日本にはBubulcus ibis coromandusが夏鳥として東南アジア方面から4月終わりから5月初めにやってくる。亜麻色の夏羽が美しいサギである。(写真)(飛翔写真)群れでいることが多く、田んぼのあぜ道では数十羽が集まって採餌することがある。バッタなどの昆虫類を好み、田んぼのあぜ道で採餌することが多い。(写真) アマサギ観察で一番面白いのは田んぼの刈り入れ時期や田んぼを掘り起こす時期。コンバインが稲を刈り取る際やトラクターが土を掘り起こす際にその後ろをアマサギの群れがついていき驚いて飛び出す虫を捕食する。(写真) 不思議なことに運転する人に対しては逃げることはないがそのコンバインに別の人が近づくと逃げる。コロニーにやってくるのは一番遅く5月GW連休あたりからである。やってくる前からすでにそうなのかあるいはやってきてすぐにそうなるのか、婚姻色となったアマサギのクチバシはトロピカルピンクになり亜麻色の部分は一層映える。この時期のアマサギを真正面からみるとまるで歌舞伎の獅子のようで迫力がある。(写真) 求愛ディスプレイははっきりしないが今までの観察では頭から背中にかけて亜麻色の羽を少し逆立てるようなしぐさをするところは見たことがある。抱卵期に入ると婚姻色は消える。8月頃から亜麻色の羽は白色に換羽するため慣れないと他のサギとの識別が難しくなる。全ての成鳥個体が全身白色に換羽するというわけでもなくうっすらと亜麻色が残る個体もけっこう見かける。8月頃から巣立ちした幼鳥とともに群れで田んぼのあぜ道でたむろすることがある。(写真) あぜ道から田んぼの中に入ってはエサをとって出てくる、こんなことを繰り返す。そんなアマサギの群れに数羽のチュウサギが混じることがよくある。(写真)コサギやダイサギがアマサギの群れに混じることはあまりない。おそらくアマサギとチュウサギはエサが似ていることも関係しているのであろう。8月以降はねぐら入りのときもよく混群になるので、8月はカウント調査員泣かせの時期でもある。9月頃から徐々に南の国へと帰っていく。

                 

ゴイサギ

 

全長58cm-65cm。日本、朝鮮半島、中国、インド、アフリカ、北米、南米、東南アジアにかけて生息。4亜種ある。(写真)日本では留鳥、または漂鳥。東南アジア方面に渡るものもいる。夜行性のため昼間に観察してもねぐらの木の中でじっとしていることが多いが繁殖期は田んぼで採餌する姿を観察できる。ずんぐりとした体形だが動きは意外と機敏である。ほかのサギたちが次々とコロニーに帰巣してくる夕方、白いサギと入れ替わるようにゴイサギは飛び立っていく。(写真) 飛ぶ姿はそのままぬいぐるみになりそうなくらい丸っこくて可愛らしい。夜の田んぼを観察するとゴイサギが採餌する姿を見ることができるが月明りの中では観察は結構困難。しかも夜に双眼鏡を持ってうろうろしていると不審者と疑われるため(ていうか疑いもなく不審者だが)、夜の観察には注意を要する。首をひっこめたスタイルでじっとしていることが多いがエサを取るときは首を伸ばす。(写真) 思いのほか首は長い。愛知県では冬期はかなり数が減るようなので相当数が南下していると思われる。ある探鳥会で小さな子供が「あーっ ペンギンがいる!」といったので見るとゴイサギだった。たしかにペンギンに似ているといえば似ている。改めてゴイサギを見直すとその藍色と藤色の絶妙な青のコントラストはフェルメールの絵のように美しい。コロニーでは比較的に木の低いところに営巣するため観察しやすい。幼鳥は一面こげ茶色で白っぽい斑点があり通称ホシゴイとも呼ばれる。(写真)台風が来た時にゴイサギの営巣場所を観察したことがある。強風で大揺れに揺れる巣の上で必死に巣を守るゴイサギ。すると1羽のゴイサギが強風で巣から落ち、すぐ下の枝にしがみついた。風で飛ばされまいと枝にしがみつきつつ、それでも心配そうに頭上の自分の巣を見つめるゴイサギの姿に心をうたれた。(写真)