『W旦那+(プラス)』第127話 三代目妄想劇場
2018.02.03 01:00
ポローニアスと対面した理愛は、顔色一つ変えなかった。
「オフェーリア…私のことを思い出せなくても…」
「私には君が必要だ」
ポローニアスは理愛の白い手を取り、
キスをした。
理愛は何も言わず、銀髪の男を見つめている。
たまたま店に来ていた剛典はショックを隠せないでいる。
「人妻…」
そう言ったきり、カウンターに座り、下を向いたまま黙っている。
臣と隆二は、全ての選択を理愛本人に委ねた。
理愛「5年間も、本当に良くしていただいて…」
理愛「帰る場所がわかった今、これ以上お世話になるわけにはいきませんので」
そう言って理愛は二人のオーナーに頭を下げた。
隆二「本当にそれでいいの?」
臣は何も言わず、黙って理愛を見つめている。
剛典は目を閉じたまま固まっている。
理愛「はい…自宅に戻れば何か思い出すかもしれませんので」
ポローニアス「よく決心してくれたね、オフェーリア」
「ではすぐに手続きしよう」
「手続きが終わったらすぐに迎えに来るから」
滞在中のホテルの名刺の裏に、自分の携帯番号を記入して理愛に渡す。
ポローニアスは軽く理愛をハグして、
身元引き取りの手続きをしに、
係員の車で警察庁へ出かけていった。
ポローニアスが出てすぐに剛典が席を立った。
「俺、今から取材があるので帰ります」
理愛「…」
隆二「がんちゃん…大丈夫?」
剛典「はい…」
理愛「剛典さん」
玄関のドアを開けた剛典に、理愛が声を掛けた。
理愛「貴方のことは、忘れません」
理愛「ありがとうございました」
剛典は理愛の方を見ずに店を後にした。
End