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「宇田川源流」 資格を必要とする職業の制限をするという私大薬学部の就職口安定への「自浄作用」

2022.07.27 22:00

「宇田川源流」 資格を必要とする職業の制限をするという私大薬学部の就職口安定への「自浄作用」


 資格を必要とする職業がある。基本的には職業に関しては憲法20条において「職業選択の自由」がある。また、一応好きな仕事、嫌いな仕事、人気な仕事というものはあるものの、基本的には「職に貴賤はない」というようなこともある。そのために、基本的にはどんな職業にも慣れるし、また、転職もできるというのがふつうだ。

しかし、一部の職業に関しては、資格が必要な場合がある。基本的に、その職業は資格がなければ人を傷つけてしまったり、あるいは依頼者が守られないというようなことになってしまっている。半端な知識でそのことをしてはいけないというようなことが決められている。それは「本人の職業の自由」よりも「その職業を依頼した人や周辺の人の安全を守る」ということで、「一人の権利」ではなく「多くの人の権利」を守るということを重視するという観点である。もっと言えば「個人の人権よりも公共の安全を守る」ということを重視したために、職業選択の自由を制限するということになっている。

ちなみに法理論的には、「資格はだれでも挑戦することができる(さすがに年齢制限はある)ので、職業選択の自由の原則に違反しているものではない」というような理論になっているのである。要するに「実力がないのに、やりたいというだけでできる職業ではないので、資格制度によってある程度制限することは合憲である」ということになっているのである。

最も皆さんがわかる例は「運転手」であろう。運転手という職業は当然に商業選択の自由の中の一つ出る。しかし、その要件となる「自動車運転免許」がなければ運転手になることはできない。その自動車運転免許がなければ、交通法規や運転技術の保証ができず、そのことから、運転をして事故を起こす可能性があり、公共の福祉に違反するということになるのである。

弁護士や公認会計士に関しては「弁護」「会計」という社会的な内容に関して、その技術がバラバラになり、その為に社会的な統一性や事務処理の煩雑性があり、「納税の義務」や「訴訟(司法手続き)」に関して不公平な状況になる可能性があり、クライアントが必要以上に不利益になる可能性がある。

そして医師や薬剤師などの医療系資格に関しては、医療を受ける人々にとって、その内容がマイナスになり、人命を落とす可能性があるだけでなく、その薬害や医療廃棄などによって、抑えられる疫病が疫病などが広まる可能性もあるのだ。

薬学部急増、2025年度以降は新設認めず…将来的な「薬剤師余り」に対応

 文部科学省は2025年度以降、原則として大学の6年制薬学部の新設や定員増を認めない方針を固めた。

 将来的な薬剤師余りや、近年の薬学部の急増による定員割れなどに対応する。

 22日の有識者会議で、薬学部の新設・定員増の抑制案を示し、今年度中の設置認可基準の改正を目指す。早ければ25年度から、6年制薬学部の新設や定員増加は原則、できなくなる。

 厚生労働省によると、薬剤師の総数は45年には、病院や薬局で必要な人数(33万~40万人)を10万人程度、上回るとみられる。薬剤師が過剰になると、就職難や待遇の悪化などを招きかねない。

 「薬剤師余り」の背景には、近年の薬学部の急増がある。医療の高度化などに伴い、薬剤師を養成する薬学部は06年度、4年制から6年制になった。この前後から6年制薬学部の新設が相次ぎ、06年度の66大学67学部から、21年度は77大学79学部となった。このうち26大学には、薬学の基礎を学ぶ4年制も併設しているが、薬剤師国家試験受験には原則、6年制課程の履修が必要となる。

 医師や歯科医師、獣医師を養成する大学は原則、新設や定員増は認められていない。薬学部は大学が自由に申請でき、法令に適合すれば認可されてきた。

 6年制薬学部を持つ私大58校(60学部)の3割は、入学定員充足率が80%以下にとどまる。また、6年で卒業し、ストレートで国家試験に合格できる学生は私大では6割に満たない。薬剤師には、医師らと連携し、患者への薬物療法や健康増進に関わるなど専門性が期待されるが、薬学教育の質低下も指摘される。

 一方で、薬剤師は都市部に偏在しており、特に地方の病院で不足している。厚労省の調査では、病院の薬剤師充足率は、愛知県や兵庫県の98%に対し、群馬県や青森県は5~6割台だった。このため文科省は、25年度以降も例外として、薬剤師不足の地域では新設や増員を認める方針だ。

 文科省は、定員充足率や国家試験合格率が低い私大に改善を促してきた。今後は定員割れの大学に対し、助成金の減額や不交付も検討する。

2022年7月19日 15時0分 読売新聞オンライン

https://news.livedoor.com/article/detail/22527707/

 そのような医療系資格のうち薬学部の急増により定員割れをしているという。その為に2025年以降原則として大学の6年生薬学部の新設を認めない方針とした。

さて、まずは一般論として「薬剤師試験という国家試験の必要性」ということに関しては、特にその必要性は上記のとおりである。中国などは「薬と偽って生理食塩水を売る」などというようなことが行われるなどの事があるということになる。その為に、日本では薬剤師に関する内容が大きく、健康食品などの販売広告などで「薬事法違反に当たる」などのことが少なくないのである。それだけ薬剤師試験は大きな役割を果たしており、健康に関しての日本人の関心に大きく寄与している。特に、最近のコロナウイルス禍下においては特に大きな役割になるのであろう。

 一方で、健康ブームに応じて大きく増えているということもあり、同時に、少子化によって人口が減少してゆくことになるので、当然に資格職業においてその資格を必要とするのか、その人数を制限するというようなことが妥当と考えられる部分もある。要するに「薬剤師」という資格を取って薬剤師以外の職業になるまたは薬剤師の資格を必要とするほかの仕事があるのかということが重要になってくるということになる。それがなければ「需要と供給の原則」から、当然いその内容が少なくなるということになるのではないか。

 文科省は、定員充足率や国家試験合格率が低い私大に改善を促してきた。今後は定員割れの大学に対し、助成金の減額や不交付も検討する。<上記より抜粋>

さて、単純んこれは大学に関してはかなりの大きな痛手になるということになる。つまりは文部科学省的には薬剤師などの医学的な資格職業に関しては少なくする方針なのであろう。

医師や歯科医師、獣医師を養成する大学は原則、新設や定員増は認められていない。薬学部は大学が自由に申請でき、法令に適合すれば認可されてきた。<上記より抜粋>

まあ、既にほかの医療系資格に関しては「少子化に対応」ということになり、薬剤師に関しては何らかの他の内容を模索してきたのであるが、しかし、残念ながら他の職業でも人余りが出てきただけではなく、私学大学などにおいて、合格率が低いということも懸念される。つまり「役ガキ的な知識を持ちながら薬の仕事をしていない人が増えている」ということになる。単純に、「薬剤師そのものが必要なくなってきた」ということに他ならない。

この内容は何度も書いているように少子化の影響であると同時に、教育の問題でもあり、また、その大学卒業後の就職の問題ともいえる。それらが大学が保障できていない以上は「大学は金もうけ主義」と誤解されても仕方がないということになろう。そのようにならないように大学の自浄作用が必要になってくるのではないか。