【読書びとサロン】vol.10 「イノベーションのジレンマ」
タイトル:イノベーションのジレンマ~技術革新が巨大企業を滅ぼすとき~
著者:クレイトン・クリステンセン
監修:玉田俊平太 訳者:伊豆原弓
出版社:翔泳社
「イノベーションのジレンマ」とは、「偉大な企業はすべてを正しく行うがゆえに失敗する」ということです。
本書では、“なぜそうなるのか” を具体的な事例で説明し、それに対する解を与えてくれています。
古(いにしえ)より「盛者必衰の理」と言われますが、現代の企業活動においても同様です。
企業の規模が大きくなると、急成長が期待される事業であっても、売上高に与えるインパクトが小さければ参入を見送るケースが多々あります。
それは、
①現在の事業を安定的成長を優先し、そこにリソースを集中させるためであり、
②急成長が見込める事業であっても成功する保証が無い、からです。
また、“現在の”顧客を満足させることがその企業のミッションですから、その顧客が受け入れないような新たなサービスや製品を創造することはできないのです。『←継続的技術改革に固執』
1990年代後半からインターネットが急速に普及し、今日に至るまでにIoTやAIといった技術革新が猛スピードで進み、ほぼ全ての業界で大きな変化が起こっています。
昨年から「Amazon Effect(アマゾン効果)」という言葉をよく耳にするようになりました。
これは、米国のインターネット企業であるアマゾン・ドット・コムが様々な市場で起こしている変革を表す言葉です。
↓≪参考:アマゾン効果の記事 2018年2月1日≫
消費者の行動がオンラインショッピングへ移行していく中、ショッピングモールが次々と閉鎖に追い込まれ、百貨店やスーパーマーケットが倒産するなどしています。
株式市場では、株価が低迷しているこうした消費関連企業を一つにまとめて、「アマゾン恐怖銘柄指数(Death by Amazon)」なる株価指数が算出されるようになりました。
インターネットの普及によって様々なベンチャー企業の活躍する領域が広がり、従来型の大企業が多くのネット企業から激しい競争を挑まれています。
しかし、一方でネット企業もユーザーに受け入れられなければ淘汰される非常に厳しい時代です。
このように『破壊的技術革新(破壊的イノベーション)』によって新しい市場はこれからも開拓されていくでしょう。
フロンティアを切り開いていかれる皆さんに、本書を贈りたいと思います。
読書人:花村 泰廣
読書人の名前をクリックすると紹介をご覧いただけます↑↑↑
≪付録≫ その他クリステンセン教授のイノベーション・シリーズ著書
◆2001年「イノベーションのジレンマ 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」←本書
◆2003年「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」
◆2012年「イノベーションのDNA 破壊的イノベーターの5つのスキル」
◆2014年「イノベーションの最終解」
そして、イノベーション経営戦略の大家が、その研究から導き出した人生訓、教え子たちへのエールがこちら。
◆2012年「イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」
2011年には、震災後の日本に向けてメッセージを寄せています。
そこには既に「イノベーション・オブ・ライフ」のエッセンスが感じられますのでご参考までに。
イノベーションはビジネスマンだけのものではない!ですね。