SP-X18 SPR放電抵抗器 開発よもやま話
ご無沙汰し過ぎでした。
色々と(コロナやオリンピック?やら転勤やら)ありまして。
コロナはまだ続きそうですし、完全に再稼働というほどではないですが、ブログくらいはぼちぼち再開していきたいなと思っています。主任はかせです。
この記事、2022年の夏くらいでしたが、この放電抵抗器の発表直後にアップロードするはずだったのですが、あれこれ書き直しているうちに放電器が売り切れてしまったのと、お問い合わせもなくなってしまったので需要を満たしたと考えて終売とし、そのままになっていました。
新しくブログを再開するにあたり、順番もあるしなwと、加筆、調整して一応残しておこうかと思います。読み物としてお楽しみいただければと。
これは、外部抵抗接続に対応する充電器に繋いで、放電電流を本体だけのときより増強できるものです。
タミヤのレースなどでは、LF2200を大電流放電して、充電して内部温度を上げ、パンチを出したいという需要が結構あるようで、この開発はそれを主な目的としていました。多くの方はそれを期待していると思われますので。
その他、保管時のストレージ電圧や、任意の合わせたい電圧までまで素早く合わせられるとか、充電器機種にもよりますが、Ni-Cd電池を保管するときの放電にも使えるんじゃないかと思います。
~開発経緯~
2022年4月末くらいに、icharger向け外部放電用の抵抗器って試しに作れないかってご依頼がありまして、おお( ・`ω・´)それ僕も以前からテストしようと思ってて忘れてたwwんですよwwって感じで2つ返事で引き受けて、設計要件調査と資材選定をしてました。
この作業と並行して、実際にどの充電器で放電テストすればいいのかしらね、やっぱりicharger?、でもアレ高いしなー(ヽ´ω`)、お手軽に買えそうなものはどれだろかって探してみたら、どうもToolKitRC充電器でもできるようで、特に最新のM9(当時の市場価格は1万円程度・円安でちょっと値上がりですが(ヽ´ω`))は20A放電が可能らしく、取り急ぎの機能テストはこれで、調整後の本チャンはichargerお持ちのところへ送って、というつもりでM9を調達、設計試作を開始しました。
M9は充電器としてもなかなか高機能ですが、計測器(サーボテスター、ESCテスター、バッテリーチェッカー、などが機能としてあります。)の機能も充実しているので、発売直後より気にはなってまして好都合wでした。
(充実した計測テスト機能の説明は後日また。)
(1)最初の試作(プロトタイプ)
これは単純に、どのくらいの抵抗値であれば目標のLF2200を20A以上MAX30A程度放電というところができるかという、ほんとに最低限の構造とファンを据えただけのものでした。
ファンの能力が足りてないので、かなり高温にはなるものの、20A放電は十分可能との見通しが立ちました。
これをもとに、30A放電をするための抵抗体の全体抵抗値を推測し、流れる電流と電圧から
必要そうな抵抗体のWと、発熱量、必要そうな放熱能力、ファンの風量等を推定して、構造を詰めて部品を決めていきます。
基本的に放電電流はオームの法則で計算でき、抵抗の必要なワットはワットの法則で、発熱量は実測値をもとにジュールの法則で見積もれます。計算そのものは意外と単純ですが、こういうものは経験上理論どおりには放熱できないのでw、地味に繰り返しテストが必要です。
(ちなみに、ichargerのマニュアルにも抵抗や電流設定の計算方法が書いてあります。)
(2)次の試作(実証試験モデル)
G-WORKSさんに送って、ichargerに接続して、テストしてもらったテスト機がこれです。
けんきうしょの開発現場では、大容量電源から電流を入れつつ、クランプメーターで簡易な電流計測、熱の持ち方を調べつつで、最初はファンは片側一つでしたが、(右側)
樹脂が溶けるほどではないが、うっかり触ると結構熱いので、2つにしてというところで、この形になりました。
抵抗体は同じサイズ(90mm)の壊れたファンのフレームを使って、中をくり抜いて入ってます。各部をモジュール化し、長いネジを貫通させて、増結できるようにしてみました。
付属品として、シングルポート用の割り込みケーブル類も作ってみました。
送ってテストしてもらった結果は良好で、放電終了時に許容できる温度で30A放電を達成でき、抵抗回路の基本構成はこれでイケそうということになりました。
ただ、これは作るのに手間がかかりすぎるのと、ファンを2つ使うと結構コストが上がってしまいます。
外部抵抗放電に頼らなくても単体で達成可能なicharger4010の実売価格と、少しお手頃なicharger充電器の比較で値段が抑えられないと、あまり外部抵抗器を買う意味はないので、もう一声なんとかしたいところでした。(坪G店主からの圧も(ヽ´ω`)ですが)
(3)量産版 光る皿の発案
冷却ファンは試作版では60mm→90mmと大きくし風量を増強していきましたが、サイズ感的には90がお手頃ではあるものの、90mmのファンは2022年現在ではコスパがよろしくありません。
これらのファンは、基本的に自作デスクトップパソコンのケース換気ファン部品を流用しており(試作は、はかせの手持ち在庫)、かつては80とか90mmが主流でしたが、現在の主流は大型で静音な120mm径で、実売価格も90mmの半分!?というようなものすら存在します。
更に昨今のいわゆるゲーミング用途需要で、ファンにLEDが装着され光るものも売っています。むしろ光る方が安いくらいということに気が付きました。
じゃあ120mmにして、せっかくだから光らすか・・・と、光ることには意味はないのですがw、まあ作動中の注意を惹くかなくらいの理由でした。結果として光る方がいいと言われる方が結構おられたので、新たな需要が見つかったのかなと思います。
ファンサイズに合わせて抵抗体の配置を考えていたときに、
「ん( ・`ω・´)?、対角線の長さ、大体2本分だな、じゃあバッテンに配置して、このままファンを構造部材として使って、あとは放熱板があると更に安定感が、だけど、ヒートシンクは高いしなァ(ヽ´ω`)、単純にアルミ板でも良さそうだけどなんか丸い放熱板になりそうなものは・・・・・
給食皿( ・`ω・´)!!
しかも安い、下方向に吹付けても皿の縁の丸みに沿ってスムーズに風も流れる、当たる面積も広い、もうこれしかねえ( ・`ω・´)」って仮組みしてみたらあら素敵(*´ω`*)
結果、部品数も著しく少なくなって(これで全部です)
抵抗体のはんだ付けだけが寸法合わせでちょっとだけ面倒ですが、壊れた120mmファンでジグ作って、量産時の手間を省きつつ、構造を詰めていき、今の形になりました。
いろいろ頑張ったんですが、結局目標のお値段にはあと一歩迫れてません_(┐「ε:)_。ここは今後の課題かなと思ってます。
ですが、一応目的の、LF2200を30Aくらいで安定的に放電できる放電抵抗器を作る、というところは達成できたように思います。
光りますしね( ・`ω・´)ノ
もう少しなんとかならないか、部品が安く買えないか、更に構造を簡略化できないか検討は続けているので、いずれさらにお安いエコノミーverは出るかもしれません。
そんなにバンバン売れるものでもなさそうですから、もっとドカンと注文が来そうならばという条件付きですが。
最後に・・・
酔狂でちょっとでっかいの作ってみましたw
でもこれはコスト的に多分売りものにならないと思います。(クラッド抵抗も高いし、ファンの値段もそれなりなので1万円超えそう。)
140mmファンと170mmの皿を組み合わせて、電流容量と放熱能力強化版です。
もちろん光ります( ・`ω・´)ノ
今後ともご贔屓に(*´ω`*)