こぼれ話★番外編
音楽オイリュトミーを動くには…、当然のことながら自分の受け持つ楽器のパートがどのようなメロディーを歌っているのか、自ら学び、音を認識し、その部分のハーモニーを調べ、その部分が流れの中のどういう役割を果たす部分なのか、時々刻々と変わりゆく音楽を丹念に調べる作業が必要です。
練習が進むにつれてだんだんと音楽が体に入っていきますが、最初のうちは、自分の受け持つパートがどんなメロディーを奏でてるか、聞き取るのに苦労を要します。
そんな中、下記の記事はメンバーが音楽を学び、知るうえで、とても有力な助けの一つとなりました。
ー2021年3月 にも通信『架け橋』本文よりー
T.K.さんより、次のようなご紹介がありました。
「Youtubeで、よいオーケストラ動画を見つけました。とてもゆっくりなのですが、各パートがとても丁寧に、かつ歌っている演奏なのです! 個人的には金管や木管パートが良く聞こえる気がします。そしてまさに、オイリュトミーで動いている時の気持ちにぴったり寄り添っているように思えました。 最終的にはゆっくり過ぎるのかもしれませんが、オイリュトミーを動くには早すぎる演奏が多い中、自分のパート以外の音も実に味わい深く聞こえてきて、今の私達にとって参考になる演奏かと思い、ご紹介させて頂きます。 練習ではどうしてもピアノ伴奏になってしまいますが、ピアノの音の背後に、オーケストラの響きをいつも自分の中に響かせて、練習できるとよいですね。 (トランペットの音はピアノ伴奏では入っていない箇所がたくさんあるので、、
ご存じの方も多いと思いますが、このルーマニア生まれのセルジュ・ チェリビダッケ(1912-1996)という指揮者は、フルトヴェングラーの 謹慎生活(ナチスとの関係を咎められての)の間ベルリン・フィルの首席指揮者をつとめ、その後客演指揮者として各地を転々とした後、 1979年からミュンヘン・フィルの首席指揮者として長く活躍しまし た。
この演奏は1991年のようですが、ちょうど私はオイリュトミー学校の3年生で、ミュンヘン・フィルの本拠地であるミュンヘンのガスタイクというコンサートホールにしばしば通っていました。チェリビダッケも何度も聴きました。とてつもなく耳が良いと評判の彼に鍛えられた演奏は、つねに磨き上げられた玉のような音の響きで、いつも感動しながら帰途についたことを思い出します。
そして、「遅いテンポ」で有名なチェリビダッケですが( この演奏も50分以上 ! )、今日彼の評伝を読み返していて「テンポ」について 興味深い箇所を見つけました。 ミュンヘン・フィルのチェリストがインタビューに答えたものです。
「もし音楽批評にたずさわるお歴々が、私たちのオーケストラのプローベで一つの作品がどのようにリハーサルされてゆくかを一度ご覧になっていたら、きっとそのような、音楽を聴くときの物理的な時間を問題にするような愚問は、そもそも発しないでしょうね。そもそも
物理的な時間などというものが、音楽の中でどうして重要なファク
ターであり得るでしょうか ?
音楽には音楽的時間しか存在しないのです。
もし私に真に聴く耳があり、本当に聴くことができるとすれば、
私はできる限りの声部、できる限りの音の現象を精一杯聞き取ろうとするに違いありません。
チェリが例えばブルックナーを指揮すると
き、真に耳を傾ける者は、決して飽きたり遅すぎると感じたりはしません。
例えばブルックナーの交響曲第七番の第一楽章コーダを聞くと、そこではまるで世界が創造されていくようです。そのときあなたはきっと、その真っ只中にあって、決してこの音楽が終わることのないことをひたすら願うことでしょう」
私たちも、オイリュトミーにふさわしいテンポを指揮者とともに見つけていきたいですね。(K.Y)