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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ロマン派の時代48-オペラ「ファウスト」

2022.07.27 11:53

ナポレオン3世は、共和主義者に対抗するためにカトリックを利用し、カトリックもそれに乗った、そのため帝政が倒れるとまた反カトリックが起きるのだが。ともかくその象徴ともいえる作曲家がシャルル・グノーであり、彼は敬虔なカトリックで、有名なアヴェ・マリアをはじめとする宗教曲もつくっている。

そしてグノーが大当たりを取ったオペラが何とゲーテの書いた「ファウスト」である。ファウストは西洋文化に多大な影響を与えたが、それをオペラにしようなどとする者は居なかった。グノーはファウストを愛読し、1852年からオペラの構想を練り始め、1859年に初演された。

オペラの主役は、ファウストに捨てられて最後に彼を救済するマルガレーテである。オペラでは、宝石に誘惑されてファウストを愛し、子供まで殺してしまうマルガレーテの苦悩が描かれる。しかも第4幕では、教会から拒絶され、兄からは呪いの言葉を投げつけられる。

再終幕では、マルガレーテは牢獄の中でファウストの誘いを拒絶し、何と神自身に救われ昇天してゆくのだ。おまけに悪魔メフィストフェレスは、大天使ミカエルに倒されることになっている、主人公のはずのファウストはそっちのけとなる。さすがにここまで違うとご本家ドイツでは違和感があり、タイトルは「マルガレーテ」とされている。