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杉並病をなくす市民連絡会

健康調査報告書に対する杉並区の見解とこれに対する抗議

2018.02.03 04:45

「杉並病をなくす市民連絡会」は、2004年3月に健康調査報告書を杉並区練馬 区・中野区などに提出し、杉並区と練馬区に対しては、これに対する見解を求め、更にそれぞれの区が地域の健康調査を行うことを要望いたしました。両区からの回答の主な点は… 

■杉並中継所の操業と周辺住民の健康不調との関係については、公害等調整委員会の裁定結果に従っている。(健康不調の原因は中継所排出化学物質だが、既に鎮静化した)

■地域住民から保健所・保健センターなどへの相談はほとんどなく、乳幼児・成人健康診断等において、他の地域に比較しても差はみられない。

■杉並区では、中継所の排気・排水・周辺環境の化学物質モニタリング調査を年数回実施している。排気・排水からは、規制基準を越える化学物質は検出されていない。

などの見解を示され、会として納得できないものですので、抗議文を提出しました。

化学物質モニタリング検査や、保健所のデータとこれに関する考え方などについては、これからも担当部局とじっくり話し合っていく予定です。さしあたっては、「杉並病をなくす市民連絡会」の健康調査書を無視し、それぞれの区が地域の健康調査を行わないという回答に対する抗議書を提出しました。

杉並区長に対する抗議書は以下の通りです。(1.2.3.は杉並区の回答)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    

杉並区からの回答に対して、抗議いたします。

私たちは、杉並中継所周辺在住者および転出者に対する健康調査を2003年9月から

翌年1月まで実施し、その結果をまとめた健康調査書を2004年3月に区長および

関連部署に提出いたしました。

この調査に対する杉並区の見解および当会の要望に対する回答を8月12日に

受け取りました。残念ながら、区長の回答は、当会の調査によって明らかになった

「杉並病」公害の実態から目を背けるものであるといわざるを得ません。当会は、

被害の発生源であると公害等調整委員会でも認めた杉並中継所の管理責任者である

杉並区長・杉並区役所の態度に怒りをもって抗議いたします。

同時に、杉並区が「杉並病」公害を直視し、一日も早い解決のために尽力するよう

重ねて強く要望します。

以下、区長および担当部局の主な回答にそって問題点を述べます。

1.(中継所周辺の健康被害は)一時的な症状又は一般的な疾患として治療されてい

   る状況と認識しております。

この見解は、『杉並環境白書』その他で数年来区が繰り返している文言そのままで、

当会の健康調査を読んだとは言えないものです。当会は、市民の不安と不満に基

づいて調査し、深刻な実情を杉並区に訴えたのですが、8月12日の話し合いの席

でも「新規の発症はないと認識している」との発言があり、ここでも当会の調査は

一顧もせず、故意に無視する態度は許しがたいものです。

2.区が平成11年に実施したアンケート調査の結果、(中略)公害等調整委員会に

  よる裁定が出されたものと認識しております。

当会の健康調査は、2003年9月から翌年1月にわたるものですが、杉並区が「中継

所を原因とする疾患は認められない」とすることの根拠は、1999年の11月実施の健康

調査であり、裁定もまた2002年6月に出されたものです。

したがって、これより後の2003年の調査を否定する根拠とはなり得ないものです。

また、1999年の調査の質問項目は、中継所周辺地域特有の過酷で異様な症状などに

ついての選択肢もなく、自由記述の欄すらもない、ごく一般的な健康・生活習慣調

査です。

さらに、2002年6月の公害等調整委員会の裁定は、「発症」有訴者が集中した中継

所操業開始期5カ月のみに被害を限定しています。9月以降も続いた有訴者を切り捨て、

しかも症状の継続・悪化・重篤化については一片の調査もしていません。

杉並区は、1999年の古い調査結果を現状にすり替えることなく、当会の調査結果を

真摯に受け止めて、現状を精査すべきです。

3.中継所周辺地域が他の地域に比べて健康上特記すべきことはないと考えます。

杉並区は保健所で収集できる健康データおよび保健センターへの健康相談が少ない

ことを理由として、このように述べていますが、「保健センターは『お年のせいで

しょう』などととりあわない」という訴えが当会にも届いております。地域の人々

に相談をあきらめさせ、いたしかたなく転出していかざるを得ないという状態を

生んでいます。さらに、多くの個人・家族が資産・生活を捨ててやむなく転出してし

まったあとでは、「訴え」が少ないのもうなづけるものです。

このたびの、当会の調査で顕著だったのが、最近の転入者であり、若年層・子ども

の反応でした。転入者は、以前の在住地との比較において健康不調や不安を訴える

ものです。 このような状況についても、杉並区は考慮し、調査すべきです。

4.現時点では新たな調査の必要性はないと考えます。

上述してきたように、杉並区の「新しい被害は認められない」との主張の論拠は

極めて薄弱です。これに対して当会の調査は非公式ながら被害の継続と拡大を示

すものです。

既に、中継所操業から8年余、1999年の調査からも約5年を経ています。多くの

公害事件の経過から素朴に考えても、深刻で特異な被害のあった中継所周辺に

「現在は被害がない」と断定し、1999年以降の健康状態把握をしなくていいのか。

その点に関する行政責任を問うものです。

以上の理由により、当会は、あらためて、公的機関による新たな健康調査を求め

ます。