【日本産新鉱物】 大峯石 Ominelite
大峯石 (大峰石) Ominelite IMA1999-025 Omi
Fe2+Al3O2(BO3)(SiO4);直方晶系
IMAステータス:"Approved" (IMAが設立された1958年以降に承認された有効な種)
模式地:奈良県吉野郡天川村 弥山川
模式標本:国立科学博物館および千葉大学理学部地球科学科
鉱物名:産地 (大峰山脈) にちなむ.
原記載:廣井美邦 (千葉大学),E.S. Grew (米国・メイン大学),本吉洋一 (国立極地研究所),D.R. Peacor (米国・ミシガン大学),R.C. Rouse (米国・ミシガン大学),松原 聰 (国立科学博物館),横山一己 (国立科学博物館),宮脇律郎 (国立科学博物館),J.J. McGee (米国・サウスカロライナ大学),S.-C. Su (米国・Hercules Research Center),外田智千 (国立極地研究所),古川 登 (千葉大学),柴崎洋志 (金属鉱業事業団)
- Hiroi, Y., Grew, E.S., Motoyoshi, Y., Peacor, D.R., Rouse, R.C., Matsubara, S., Yokoyama, K., Miyawaki, R., Mcgee, J.J., Su, S.-C., Hokada, T., Furukawa, N. & Shibasaki, H. (2001) Ominelite, (Fe,Mg)Al3BSiO9 (Fe2+ analogue of grandidierite), a new mineral from porphyritic granite in Japan. American Mineralogist, 87, 160-170. https://doi.org/10.2138/am-2002-0117 (IMA第一文献)
大峯石は奈良県から初めて記載された新鉱物である.発見当初はグランディデエライトとして学会発表されているが,Mgを主成分とするグランディデエライトに対してFeが卓越していたため,その後の研究によって新鉱物として確立された.
本鉱物の研究は,日本と米国の研究者による国際的なチームによって行われた.化学分析はEPMAで行われたが,同じ試料について国立科学博物館 (日本電子製) と米国・サウスカロライナ大学 (カメカ製) でそれぞれ分析された.また,粉末X線回折データは国立科学博物館,単結晶X線回折データは米国・ミシガン大学で取得されている.
和名は “大峰石” とする文献が多いようだが,原記載者は “大峯石” を用いているので,ここでは後者を採用した.
奈良県吉野郡天川村 大峰山脈 (Omine Mountains, Tenkawa, Nara Prefecture).FOV ~4.0 mm.
文献
- 廣井美邦,本吉洋一,Grew, E.S.,古川 登,柴崎洋志 (1998) 大峰山地のS-タイプ花崗岩に見出されたグランディディエライト:その産状と成因的意味.日本岩石鉱物鉱床学会学術講演会講演要旨,158.
- Dzikowski, T.J., Groat, L.A. & Grew, E.S. (2007) The geometric effects of VFe2+ for VMg substitution on the crystal structures of the grandidierite-ominelite series. American Mineralogist, 92, 863-872 (IMA第二文献).