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YUI JAPAN

道具の危機〜漆かんな職人のお話〜

2018.02.03 23:11


神楽坂フラスコギャラリーのイベントで

日本でただひとりの漆かんな職人

『プロフェッショナル~仕事の流儀』

にも出演された、中畑文利さんの

お話を伺ってきました。



漆カンナとは漆掻き道具の一種で

漆を採る時に漆の幹に

傷をつける専用の道具です。


これがないと漆は取れないのですが

漆掻き職人によって癖や使い方が違うので

使いやすいように微調整が必要

独特で相当な熟練技が必要なのだそう。



安価な化学塗料製品に押され

漆を採取する漆掻き職人も激減し

今や全国でたった20人ほど。

そして72歳の中畑さんは

その漆を掻く為に必要な道具を作る

貴重な最後のお一人。。



「伝統をつなぐための歯車になりきる」

「歯車の一部として自分に出来る事を

真摯にやり遂げられれば本望」

と穏やかに語る言葉たちが印象的でした。



道具を作る人がいなくなれば

漆器が作れなくなり

めぐりめぐって縄文時代から

脈々と受け継がれてきた漆文化が

途絶えてしまいます。


100年後にも漆文化を繋ぐために

まさに今大きな手立てを

打たなければならない所まできているんですね。


風前のともし火であり

まだどうにか希望を持てる転換期でもあり。



国、行政、

それぞれの分野・工程の職人

伝える人

売る人

使う人


それぞれが協力し合い

次世代へと止むことなく

歯車を回していく良い循環を

なんとか作れたらと願います。


外弟子ながら希望の後継者でいらっしゃる

鈴木康人さんとのトークセッションは

同世代として深く考えさせられました。



漆器は本当にたくさんの方々が

関わって作られるもの。


ひとつの作品の奥には

様々な背景がある事を知ると

職人さん達の想いを感じ

大切に使い

愛着が湧いてくるのかもしれません。