Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第2回十字軍9-十字軍ダマスカスで自滅

2018.02.04 04:00

「えっこっち攻めるって?」ダマスカスの大将ウナルは正気か?と思ったに違いない。だってダマスカスはエルサレムの同盟者だ。しかし百戦錬磨の彼は何よりリアリストである。直ちにイスラム各地に檄を飛ばし支援を願う。さらに、アレッポのヌールッディーンに娘を嫁に出した。

何のことはない、イスラムを団結させちゃったのだ。そしてウナルは、十字軍側をかく乱にかかる。「攻められて渡すくらいならアレッポの配下になるよ」。しかも西欧から来た軍とは別に現地勢にも手紙を出した、「よそ者が悪いんだ」と。そして現地勢はホンネはそう思ってたのだ。

しかも、この十字軍は4月に決めたのに、3か月も準備にかかった、どうやら王達は聖地観光を楽しんだようだ。動き出したのは7月末、酷暑の盛りだ。その頃にはダマスカスはすっかり準備が整い、現地勢は完全にウナルに買収されていた。

7月25日、戦闘が開始されたが、果樹園に潜むダマスカス軍に完全に先手をとられ、酷暑の中、水のない平原へと誘導された。疲れの中で、「アレッポ勢の援軍が来る」との噂が飛んだ、もちろんウナルの仕掛けである。現地勢は、コンラート3世に撤退を進言し、指揮系統は完全に混乱、逃亡者も続出して、自称5万人の十字軍は、わずか4日間の戦闘で撤退したのである。