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[関東]ケン君と二階の秘密

2018.02.04 14:08

当時俺は大学生で一人暮らししてたから金がかかったんだ。(仕送りも少なかった) 

んで、バイトをファミレスとかコンビニとかやったけど家庭教師って結構金いいのに気付いたのよ。 でも家庭教師ってサイトに登録とか色々面倒じゃん? だから俺は近所に許可もらってビラを貼らせてもらった。確か『中高生に英語と国語教えます。一時間3000円 連絡先○○』って感じだったと思う。 それで、数日たったある日に電話がかかってきたのよ。 中年のオバチャンぐらいの声質だった。 ビラを見たんですが~来ていただけますか?とか言ってたな。 話を聞くと息子に勉強を教える人を探してたらしい。 

 毎日来て欲しい、一日4時間お願いするとのことだった。 俺はまじかよ、12000円だやったぜとか思ってた。馬鹿だったと思う。 一日4時間毎日頼む時点でおかしいと思うべきだった。


次の日からさっそく来て欲しいとのことだったので次の日から行った。 

夕方から四時間やるので飯を早めに食って家を出た。 言われた住所の所に着くと古くて小さな家がポツンと佇んでいた。 時間帯も時間帯だったのでなかなか怖い雰囲気を醸し出していた。 

まぁ仕事だから…と恐る恐るチャイムを鳴らした。 すると、電話と同じ中年のオバチャンの声がして何故か安心。 ドアを開けたオバチャンを見て俺は言葉を失った。 

 フケだらけの頭。 どす黒く目元にある隈。 ニタァーっと気色の悪い笑顔。

 一瞬で帰りたくなったがまだお金の方が勝った。 

 オバチャン「どうぞ 上がってください」ニヤァ 

『…お邪魔します…』声が震えてたと思う。  

お子さんはどちらに?と聞いたらこっち、と奥の部屋に通された。 ぶっちゃけめちゃくちゃ怖かった。なんて言うか家の雰囲気がすごく怖かった。 


嫌々奥に進むと、部屋はまさに子供部屋って感じの部屋だった。 タンス、テレビ、ベッド、ぬいぐるみ、ロボットのおもちゃ、勉強机…… 奥の勉強机に子供らしい人影があったのでそれに向かって近付く。こんにちわーなんて言いながら近づき、よく見る。


それは人形だった。


人形と言っても手作りのような感じで子供ぐらいのサイズはあって洋服を着ていた。 ヤバかったのは顔。無機質な布に●が三つあるだけだった。 マリオにヘイホーみたい。 

オバチャン「家の息子です」ニタァ 

 マジに血の気が引いた。この家マジにヤバイ。本当にヤバイ。

『えっ……?人形……ですよね?』これが地雷だったようだ。  

オバチャン「はぁ!?!?!?何言ってるの!!!!家の息子よ!!!ケン君!!!」 

突然の大声とオバチャンの豹変ぶりに涙が出た。 本当にヤバイ。殺されるかもしれない。死にたくない。 

 なんとか穏便に済まして帰ろうと思った。 『分かりました!分かりましたから! ケン君!!お兄さんと勉強をしようか!!』と言うとオバチャンがニタァってして元に戻った。  

当然ケン君は返事をしない。当たり前である。人形なのだから。 勉強と言っても相手は人形なのでひたすら俺が人形に向かって喋るだけである。 

ここからの四時間は本当に地獄だった。10分の休憩を入れても苦痛だった。 ここはbe動詞だから○○になるんだよ~とかこれは連用形だからウだね~とか四時間ひたすら一人でやる。 

オバチャンはその様子を後ろでニタニタと眺めていた。本当に気持ちが悪かった。 


なんだかんだでやっと四時間が過ぎた。 『じゃあ終わりにしよっか~』

返事はない。当然である。人形なのだから。

オバチャン「お疲れ様~ ありがとうございました~」ニタニタ  

本当に気持ち悪い笑顔だと思いながら帰る支度をする。  

オバチャン「もう遅いしご飯食べて行きなさい」ニタァ  

『いえ、来る前に食べたので大丈夫です。』

 オバチャン「食べていきなさいよ!!!!!」 

また怒鳴られた。本当に怖い。基地外だ。それにこんな気持ち悪い家で出てくるご飯なんてたまったもんじゃない。 でも殺されるかもしれない。

『じゃあ…頂きます……』と渋々了承した。 


その後、ダイニングみたいな場所に通されてイスに座った。 包丁を取り出し何か調理を始めた。 包丁を取り出した時は本当にドキッとした。冷や汗ダラダラだった。 汚い鍋も取り出しそれで何かを煮込みだした。するとカレーの匂いがしだした。 カレーか…普通の飯で良かった。と心底そう思った。  

オバチャン「はい。どうぞ」ニマァ  

汚い皿にカレーが盛り付けられていた。スプーンはコンビニで貰えるスプーンを再利用したものだった。 頂きます、と恐る恐る食べる。

普通のカレーだった。不味くもなく、旨くもなく…… 

 オバチャン「お口に合うかしら?」ニタニタ 

『はい!おいしいです!』怒鳴られるのは怖いので多少オーバーに答えた。 

オバチャン「そうよかったわ。今日は泊まって行きなさい。」ニヤァ 

 意味が分からなかった。

『いえ、そんな、悪いですし大丈夫です。』 

オバチャン「ケン君も喜ぶわ~是非止まっていって」ニヤァ 

『いや…』

オバチャン「泊まっていきなさいよ!!!!ケン君が可哀想でしょ!!!!」  

怖かった。 選択の余地なんてない。泊まることにした。そして泊まる振りしてどこか隙を見つけて逃げることを計画した。 


 俺はケン君の部屋でケン君と一緒に寝ることになった。 こんな気持ち悪い人形と一緒に寝るなんて嫌すぎた。 ケン君の部屋に布団を敷いて貰った。 

オバチャン「良かったわね~先生と一緒に寝れて~」ニタニタ 

本当に怖い。

オバチャン「トイレはダイニングの隣だから、後二階には行かないでね」ニマニマ 

とのことだった。先ずはオバチャンが寝静まるのを待ち、ケン君の部屋で待機していた。 携帯電話を忘れたことを非常に悔やんだ。携帯があれば助けを呼べたのに。 

深夜になれば寝るだろうと深夜まで待つことにした。 その時は10時半過ぎだった。 特にやることもないので布団の中でうずくまった。


気が付くと深夜一時。

いつの間にか寝てしまっていたようだった。 もうオバチャンも寝ただろうと脱出を決行。 

鞄を持ち、玄関に忍び足で向かう。 一歩…また一歩……。心臓の鼓動だけが響いた。 


オバチャン「なにをやっているの?」 


もうね……死んだと思ったね…

横を見るとダイニング扉の隙間からオバチャンがニタニタと正座してこちらを見ていた。 まさか……ずっとここで監視していたのか……。 体から血の気がサッーーと引いていく。 

オバチャン「まさか帰るなんて言わないわよね?」ニタニタ 


ここで俺はパニックになった。 うわぁあああああ!!!なんて叫びながら奥へ走り出す。 

ケン君の部屋には人が出られる大きさの窓なんかない。 家の階段を思いっきり駆け上がる。 ドタドタドタドタ!!

扉が目の前に見えた。開ける。真っ暗。 電気を探し明かりを付ける。

パッと周りが明るくなると、 その部屋にはぬいぐるみ、人形がぎっしり。超絶怖い!! そこで立ち往生していると、 「キャキャキャキャキャ!!!」みたいな叫び声部屋の奥から聞こえた。 

そこに目をやるとそこには頭がすごくデカく、目玉が飛び出しそうな人間?のような物がいた。 

俺と目が合う。 「ヒャッヒャッヒャッヒャッ!!!!」 

 怖すぎた。漏らした。気持ち悪かった。

 パニックになり、窓を開けて二階から飛び降りた。 痛みは感じなかった。恐怖がそれに勝りすぎていた。 そのままダッシュで家に帰宅。


その日は寝れなかったし、足がめちゃくちゃ痛くなってきて、翌日病院に行ったら左足が折れていた。 その後そこから引っ越してもうそこには二度といっていない。行きたくない。  

最後に見たあれはなんだったんだろう。