帝国の時代19-イタリア南北の分断
2022.08.03 12:29
1860年、教皇領を除くイタリアで住民投票が行われ、サルディーニャ国王を元首とするイタリア王国が成立、翌年資産のある男性によって国政選挙が行われた。ここで歴史上はじめてイタリアが統一された。しかし長く分裂した歴史の克服は容易ではない。特に南イタリアでは。
61年6月6日、イタリア統一の立役者であり、初代首相のカブールが、50歳で急逝した。彼は最期に「イタリアは統一した、すべては救われた」と述べたという。しかし先進地域のサルディーニャの法律をイタリア全土に適応するには無理があり、その後反乱が相次ぐこととなった。
第4代首相となるルイージ・ファリーニは、統一時に国王代理としてナポリに赴任したが「なんてこった!ここはアフリカだ。ここの農民と比べれば、ベドウィンのほうがまだ徳を持っている」と言ったようだ。国政調査が行われた結果、イタリアの75%が自分の名前を書けず、シチリアでは9割にのぼった。
急速な近代化や公教育に、とりわけ南部では不信感を強めた、教皇と国家の対立が輪をかける。特にシチリアは伝統的に独立国であり、支配者が入れ替わり立ち代わり支配してきた歴史から、国家への不信感が強かった。こうした中で住民の組織としてマフィアが生まれてくる。