冠水した道路はなるべく避けて…
先日の大雨で新潟県北部では大きな被害が出てしまいました。
被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げます。
そして新潟市でもあちこちで道路の冠水が…
そんな時は皆さんどうしますか?
そのまま進みます?それとも引き返します?
ニュースでよく見る光景は波を立てながらザブザブ走っている車。
でもあれ良くないんですよね。
車種によってはタイヤの半分くらいの水位でもアウトになってしまいます。
今回入庫のステージアは信号待ちで停車中にみるみる水位が上がってきてエンジンストップしたという状況でした。
と言っても車内には水が入り込んだりしない程度水位だった様ですが…
という事でエンジンがかからないのでレッカーで搬入されました。
まずチェックする所はエアクリーナー。
フィルターはビショビショでボックス内部は水が…
エアクリーナーから水を吸ったのは間違いありませんね。
エンジンの内部に水が入り込んでエンジンがストップ。という事ですね。
燃焼室は空気と混ざった燃料をピストンで圧縮→点火→爆発で動力を発する場所。
そこに圧縮出来ない水が入り込むとピストンが押し上げられずにピストンを動かすコンロッドという部品が折れたり曲がったりしてしまいます。
この様な状態をウォーターハンマー現象と言います。
まずはエンジンチェックのためエアクリーナー、ホース、スパークプラグを外して入り込んだ水を除去します。
飛び散った水滴はエンジンスパークプラグを外した部分から吹き出した燃焼室内に溜まった水でもす。
そしてエンジンオイルを抜くとコーヒー牛乳の様なオイルが…
水と混ざり合ったオイルです。
新しいオイルに入れ替えて、入り込んだ水を除去、スパークプラグを清掃、エアフィルターを交換してエンジン始動!
エンジンはかかりました。
特に不具合無くエンジンは動いています。
チェックランプの点灯も無し!
エンジン回転の低いアイドリング時での水の吸い込みでダメージは弱かったかな?
という期待は次の点検ではかなく散りはてました…😭
続いて各気筒の圧縮をチェック。
1番…5kg/㎤ いきなりダメですね。
他の2〜6番は…
11kg/㎤ 正常です。
1番の圧縮が上がりません。
ここのコンロッドが変形してしまいましたかね?
内部を見ないとハッキリとは言えませんが…
いずれにせよエンジンを分解して修理も技術的にも費用的にも大変なので
中古エンジンに乗せ替えて修理という運びとなりました。
今回のウォーターハンマー現象。
原因はエアクリーナーからの水の吸い上げですが、エアクリーナーはライトの高さの位置に付いています。
それなのにどうしてタイヤ半分くらいの水位で水を吸い上げてしまったか…
おそらく水を吸い上げた場所はエアクリーナー下に繋がっているボックスの水抜き穴。
バンパーの内側に取り付けられていて、この穴の高さがちょうどタイヤの半分くらいの高さ…
分かりますよね?
タイヤ半分くらいの水位でもヤバい深さなんですよ!
冠水道路を波を立て走れている車、たまたまエアクリーナーが水面より上にあっただけなんです。
トラックのように車高が高めでもエアクリーナーが助手席足元に付いている車もあります。
さらに他の車が立てた波で水面の高さが上がる事もあります。
バンパーの下が水に浸かるような水位まで上がっているようなら、ゆっくりゆっくり引き返しましょう。
大切な車を守るために…