旅のチカラ、旅のカケラ

ランニングハイ

2008.12.13 14:10



いよいよ首都「アンタナナリボ」へ戻る。

ホントならもう1、2つの街を見て回りたかったが、

タフな移動に少しバテてしまった…。

残りの滞在期間は首都でのんびりしようではないか。



今回もタクシーブルースのスペシャルシート、

いわゆる助手席を確保。

ここフォアナランツィアからアンタナナリボは、

23000アリアリー(約1400円)だった。

北へ400km、およそ8時間の移動である。



出発は8時、

のはずが、毎度のことながら1時間遅れで移動開始。

早速ガソリンスタンドに立ち寄るし(最初から入れとけよ)、

まだ空席があるため、客を集めながら街を流す。

アフリカはとにかくゆるい…。



30分ほどかけて街の郊外へやってきた。

運転手は人が変わったかのようにスピード狂に変身する。

タイヤをキュルキュル言わせながらカーブを切り、

先へ先へと、追い越しをかけていく。

この人たちの緩急のつけ方はよくわからん…。



8時間というと、1日の1/3である。

長いか短いかと問われれば、長いと思う。

ところが人間って不思議なもので、

時間にも“慣れ”ができてくる。

つい先日24時間の移動をしてるし、

この旅では1回あたりの平均移動時間は10時間である。

だから8時間なら、

「あぁ、今日は楽でいいや」と感じるようになった。


そもそも睡眠時間だって8時間くらいで、

寝てる間は時間が長いとか短いとか感じない。

それと同じで、

バスに乗ってる間は、身体を通電状態にしているので

どうでもいいことを繰り返し考えている。



ちなみに今日は坂道の上り方について考えていた。

まっすぐ上っていくのと、

ジグザグに上るのでは、どちらが省エネで済むか?

応用力学だね、頭にベクトルを描いて考えていた。

え、どうでもいい?

そう、どうでもいいことに思考をめぐらせて、

意識を限りなく無意識に近づける。

もう寝てる状態と同じさ。

これがバスの乗り方、身体を通電状態にする方法。

気がつくと2時間は経ってるから(笑



ぼんやりと景色を眺めながら、

どうでもいいことを考えつづけた。

道端の標識、400で始まった残りの距離数が

どんどん減っていき、夕方には1桁台に突入した。



「あぁ、首都に戻ってきたよ」

街はちょうど夕方のラッシュを迎えていて

車はのろのろ運転に変わった。

8日ぶりの首都は喧騒に包まれていたが、

文明の香りがして不思議と落ち着く。


午後7時、以前と同じ宿に到着した。

ワゴンを降りて、大きく息を吐く。

終わった、終わった。

通電状態が解け、思考も正常に戻った。



ランニングハイならぬ“ライディングハイ”。

バスで行く世界一周は、タフなスポーツだ。