ホワイトボックス?ブラックボックスでいいじゃない
ケアマネジャーの法定研修カリキュラムが見直されるようだ。LIFE(科学的介護情報システム)を推進するという厚労省の目論見の一環だと思う。要介護要因のとなる脳血管疾患、大腿骨頸部骨折、心疾患、認知症、誤嚥性肺炎の5つの疾患について標準的なケアマネジメントが用意される。共通化できる部分を押さえた上で個別化を進めなさいということのようである。
大変結構なことだと思う。介護保険発足当初は様々な介護ソフトが出回り、そのうちいくつかはアセスメント項目に入力すれば介護計画書が出来上がるという大変ありがたいシロモノだった。最近はお目にかからないが、そういった発想は早くからあったので、今更という感じがしないでもない。しかしほどなくして「計画作成はケアマネの専権事項」ということで専門家筋から圧力でもかかったのか、多くのソフト会社はアセスメント、計画作成システムは飾り的には残しつつももっぱら請求システムの使い勝手で勝負しているようである。
私はかねてから申し上げているが、早くこの計画作成業務から開放されたいと希求している。ケアマネの仕事はサービス調整と管理である。それ以外の事は雑事である。しない方が良い。しないといけないのなら教科書は作らないで個々のケアマネに任せる。そして説明責任だけ負わせれば良い。標準化したいのならそこに個々のケアマネの意匠を組み込ませないほうが良い、ややこしくなるし、そもそも既製品から外れたものは説明のハードルが上がるためそこを敢えて作りたいと思うケアマネは相当に少ないと思われるからである。私自身はそんな些末なところに独自色を入れ込もうなんてことは露ほども思わない。
プランは単なる方向性である、肝はサービス内容にかかっている。どのような状態の要援助者にどのような援助を提供すればQOLが向上するのかはそれぞれのサービス提供事業所の経験と創造性と能力による。技量の足らない事業所ができの良いと思われるプランを手にしてもそれを活かすサービスの提供ができなければ成果は得られない。感染症とわかっていてもそれに対応する抗菌薬がなければ治療効果は期待できないのと同様である。
ケアプランは今後は膨大なデーターを集め、分析、評価し現場とのキャッチボールを繰り返しながら精度を高めてゆくであろう。早くその成果を見たいものである。
令和4年8月10日