Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

小林義男 Yoshio's Ownd

漫画「声なきものの唄〜瀬戸内の女郎小屋〜」

2022.08.12 08:05

安武わたるさんの漫画「声なきものの唄〜瀬戸内の女郎小屋〜」をLineマンガで読んでいます。

毎日1話無料で読めるので、ずーっと読んでいるのですが、とうとう課金が必要なところまで来ました。

しばらくすると再び無料で読めるので、それを待って再び読む...という繰り返し。

この漫画、私の出身地、大崎上島町 木江(きのえ :旧 木江町 現在は3町が合併して大崎上島町)と深く関わりがあるんです。


毎年7月30日には木江の港で夏祭りが行われます。

ここで行われる花火大会が素晴らしく、こじんまりとした湾と防波堤を兼ねた灯台を利用した仕掛け花火が毎年の楽しみでした。

昼は皆伝馬競争(地区ごとに分かれて櫂(かい)で操作する伝馬船。水軍の襲艇(早船)として使用された船のことなのですが、木江町と水軍との関わりは個人的には聞いたことがありません)大人神輿、子供神輿、そして「ちゃんぽこ」と呼ばれる、笛と小さなシンバルのような打楽器(鐃鈸:にょうはち?)を演奏しながらが町内を練り歩く子供の行列があり、大変賑やかなお祭りでした。夜店もたくさん出てました。この日は他町や島外からも大勢の人がやって来て超人口過密状態になります。

そんな中、花火大会が始まる前、陽も落ちて暗くなった頃、木江港に「おちょろぶね」と呼ばれる1隻の中型船舶が入って来ます。この「おちょろぶね」が来ないと仕掛け花火は始まりません。子供ながら毎年「まだ来ないのか?」とじれったく思った記憶があります。着岸するやそこから大人神輿が降りて来て港は大盛り上がり...。

その間、各地区の皆伝馬に乗ってる若い連中は目立とうと色々やってくれる。海に飛び込んだり。見物人はそれを見て大喜び。

仕掛け花火が始まっても皆伝馬はじっとしてはおらず、花火の手前を勇壮に縦横に進みます。

花火をバックに進む皆伝馬。これは素晴らしい光景でした。

というのが、子供の頃の記憶。 今は縮小されて全てはやってないかもしれません。


小学生の頃だったか、親父が「おちょろぶね」の手作りの模型をもらって帰って来ました。

でもお祭りの「おちょろぶね」とは違って小型の漁船のようで、そこに屋根が付いている。

なんか変だと思ったし、母親が「こんなものもらってきて...」と言ったのが???でした。


違う町の出身である母親に色々聞くことができたのですが、私の田舎、大崎上島町の木江は売春防止法(昭和33年)が施行されるまでは遊郭で栄えた町でした。

子供の頃は遊郭の存在など知らず、木江町は昔から造船とみかん栽培で栄えていた島だと思っていました。

町の人も全く話題にもしない。むしろ避けていたかもしれません。



その後、偶然にも「遊郭」という題材で西条酒蔵芸術祭の作品制作をおこなうことになりました。

メニュー「西条酒蔵芸術祭」から

Connect 2016 福美人酒造 「おちょろ心中」 sound:小林義男  art:高田泉

が見れます。


田舎に帰って親父の持ってた当時の写真や記事、井伏鱒二他作家が書いた作品など調べました。写真は軍国日本の記録や「おちょろぶね」での仕事風景など大変生々しいものでした。


Lineマンガで見つけたこの漫画。

「瀬戸内の女郎小屋」というサブタイトルを見て「あー、絶対田舎のこと書いとるで」と思ったのでした。

私の田舎、大崎上島、大崎下島周辺を舞台にしたであろうこのマンガ、実によく調べられています。

特に「おちょろ」についてさらに詳しい事を書いていたのは驚きました。

「おちょろ」の仕事についていた人達がどのような扱いを受けていたのか、これで初めて知りました。作者の執念みたいなものを感じます。


作者の安武わたるさん、ネットではほとんど情報公開していません。

ぜひ一度お会いしてみたいですね。

必要であれば私の持ってる資料データをお渡ししたいな。