ほのぼのとする、藤村の童話・1
2018.10.04 08:00
作家、島崎藤村の童話、みなさんは、お読みになったことはあるでしょうか。
藤村の、代表作、小説では、『破壊』という、被差別部落出身の主人公の苦しみを描いた、シリアスなテーマをもった作品が広く読まれているかと思います。
また、詩ですと、『若菜集』、中でも、初恋という詩が有名ですね。「まだあげそめし、前髪の…」。みずみずしい恋心を詠った作品があります。
「名も知らぬ遠き島より…」というフレーズから始まる歌「椰子の実」の歌詞も、藤村が手がけたものです。
そして、童話。藤村の童話は、素朴でやさしい温かみがあります。
また、童話というものの魅力は、命あるものすべてが、対等にことばを持つことです。
セミもみみずもアリもカエルも、はっぱや花、空や風、人間だけがことばをもつのではなく、語り合えることが最大の面白さだと思います。
すぐれた作家は、作品のジャンルによって、まったく別の顔を見せます。
どれだけ、違った顔をもてるかが、力の見せどころではないでしょうか。
藤村の童話「セミの送別会」、そして、私、神泉薫の詩「蟬たちに」、調布FM「神泉薫のことばの扉」放送分アーカイブにて、ぜひ聴いてみてくださいね!