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HONDA CX500Turbo 1981y

2018.02.08 11:55

HONDA CX500Turbo 1981y

(リード)

GL500のパワーユニットをベースに、I.H.I.(石川島播磨重工)製ターボ(タービン・ホイール外径50mm/コンプレッサー・ホイール外径48mm)を装着。出力比で実に70%以上もの向上が図られ、オリジナルの48ps/9,000rpmから82ps/8,000rpmと言う驚異的な数値が稼ぎ出されている。

(本文)

 パワーユニットは、プッシュロッドによるOHV。4バルブ、センタープラグ配置の精密エンジンである。縦置きVツインは、80°のシリンダー角をもち、左右シリンダーにはそれぞれに22°の捻りが加えられている。これは、エキゾースト・ポートとインレット・ポートを結ぶ一直線の延長線上に気化機を配置するにあたり、ライダーの膝との干渉を避け、ライディングに自由度を与えようとする配慮からである。

 OHCではなく、OHVの採用に踏み切ったのにも訳があった。捻りを加えた燃焼室をOHCで採用するにあたり、より複雑化するメカニズムによるコスト・アップやシリンダーの大型化が大いに懸念されることとなるからだった。

 プッシュロッド式のOHVを採用することで、V型シリンダー間にある空間にカムシャフトを一本配置。カムシャフトは、サイレント・チェーンを用い、クランク・シャフトとエンジン後方で連結駆動されることとなる。プッシュロッドはステンレス製。アルミ材を使用した場合、シリンダー・ブロックの温度より油温が高くなってしまうような特殊な状況下では、プッシュロッドの伸びがシリンダー・ブロックを上回り、バルブを突き上げる現象が起きるとして採用されたものだ。スチールを採用した場合はどうであろう。この場合、スチールの方が伸び率が小さい。

 さて、このGLベースのパワーユニットを用いたCX500が、実際にどのようなものであったか。どちらかと言えば、通常よりも慣性質量の大きめのフライホイールを与えられた為に、穏やかな出力特性を見せていたGL500。280°/440°という爆発間隔も決してスプリンター向きのものとは言い難かった。しかし、この静粛で紳士的なエンジンを、ターボチャージャーとインジェクション、そしてデジタルコンピューターがスーパー・パワーに目覚めさせた。モーターサイクルとターボチャージャーのジョイントは、先にアメリカのカワサキ系デーラーによって発表されたカワサキZ1R-TCによって、そのハイポテンシャルが証明されており、国内メーカー各社も調整の最終段階に入っていた。

 量産車として、初のターボチャージャーを搭載したCX500Turboは、デジタル制御(ブースト圧、回転数、スロットル開度)によりインジェクションをコントロール。フロント・フォークに初のアンチノーズダイブ機構(4段階調整機構付き)を採用。加えて、リア・サスをコンベンショナルな2本ダンパーからプロリンク・サスに換える等、大改造が図られていた。

 ターボチャージャーの基本的なシステムは、排気ガスとして排出される排気を再びエネルギー源として活用し、吸入圧縮による損失エネルギーを節減しようとする働きかけを行うものである。エキゾースト・パイプから排出されたガスを、マフラーから排出される前にターボチャージャーのタービンで吸収。インジェクションから供給される混合ガスと共に再び燃焼室に導き活用するもの。但し、この際に、排気圧が高すぎるとターボが効きすぎてエンジンのオーバーレブを引き起こす原因にもなり、セッティングは決して容易なものではない。又、ターボチャージド・エンジンには、スロットル・レスポンスにタイムラグを生じる等の欠点もあり、誉められる部分ばかりではなかった。但し、スーパーチャージャーのように、クランクシャフトからギアで動力を取り出すことで、直接的に駆動力のロスを誘うものでないことが、モーターサイクル向きの過給器であったと言える。

 CX500Turboのそれは、ベースとなったパワーユニットの基本理念が示すように、瞬発力をもたらすものではなく、倍増した巨大なトルクを有効に活用した余裕のある走りを楽しむ趣がある。無論、フルスケールで240km/hを期待させるに十分な要因もある。が、239kgと言う車重と巨大なカウリングに影響されるハンドリングで、軽快なスポーツ走行を・・と願うのは難しい。高速で長距離を巡航するような設定であれば、リッター・マシン並の快適性が得られるモデルである。


ホンダCX500 Turbo 1981y

エンジン:水冷 4サイクルOHV 4バルブ 2気筒 排気量:497cc ボア&ストローク:78×52mm 圧縮比:7.2 最高出力:82ps/8,000rpm 最大トルク:7.5kg-m /4,500rpm 点火方式:トランジスター 始動方式:セル クラッチ:湿多 ミッション: 5速(㈰2.500 ㈪1.714 ㈫1.280 ㈬1.036 ㈭0.839 ) 全長:2,260 全幅:720 全高:1,345 軸距:1,496 地上高:150 シート高:795mm 重量:239kg タンク容量:20L タイヤ:F・3.50−18R・120/90-17 輸出モデル


ホンダCX650 Turbo 1983y

エンジン:水冷 4サイクルOHV 4バルブ 2気筒 排気量:673cc ボア&ストローク:82.5×63mm 圧縮比:7.8 最高出力:100ps /8,000rpm 最大トルク:9.5kg-m /6,000rpm点火方式:トランジスター 始動方式:セル クラッチ:湿多 ミッション: 5速(㈰2.500 ㈪1.714 ㈫1.280 ㈬1.036 ㈭0.839 ) 全長:2,260 全幅:720 全高:1,345 軸距:1,495 地上高:150 シート高:795mm 重量:230kg タンク容量:20L タイヤ:F・100/90-18 R・120/90-17 輸出モデル