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潜在意識へのコンタクト・ミルトンエリクソン

2018.04.04 09:55

コーチングでも使えるミルトンエリクソンの催眠術入門10の技法より

1.許容・関心・観察・利用

2.喚起と暗示:自然アプローチ

クライアントの内側からなんらかの体験を喚起して自分の価値観や信念、主義主張を本人が見つけていくものなのです。その人の内側にあるリソースに目を向けてもらい、その人自身に問題の解決策や、目標を呈示してもらうことが解決思考の催眠だと言えます。 

3.前提・含意・文脈的意図

エリクソンが使う前提・含意・文脈的意図にはこれから紹介する6つの方法があります。前提とは催眠に入るための前提条件です。含意とは催眠に誘導するための示唆を暗示しています。文脈的意図とは催眠に入る時のスイッチのようなものです。①望ましい方向に導くために2つ以上の選択肢を提示する「Aがいいでしょうか?Bがいいでしょうか?」②これから起きることについて述べる「これからイメージの世界に深く入っていくかもしれません」など、あらかじめこれから起こるかもしれない出来事を伝えておくことで、今後の動向を示唆します。③進行中の出来事について述べる「深く入っていますね。」相手がどのような状態にあるのかを伝えることで、相手の意識はよりトランス状態に入っていけるようになります。④今おこったことについて述べるクライアントの意識が戻ってきた時に、「いかがでしたか?」などと声をかけることで、クライアントにイメージの世界を振り返ってもらいます。そうすることで、クライアントのうちから問題の解決策や、目標に向けてどのように行動するべきかが湧き上がってくるのです。⑤~の前に、~の間に、~の後に例えば、「イメージの世界に入る前に」という言葉をかければ、イメージの世界に入った自分を想像するでしょう。これが暗示となります。~の間にでも、~の後にでも同様の暗示となるのです。⑥気付き「~を気づいているかどうか私には分かりませんが」などのように相手に意識を向けてもらいたい方向性に誘導します。⑦程度「まだ~しないで下さい」「すぐに~してほしいとは思いません」など、相手の行動を規制するのではなく。時間をある程度調整することで催眠に誘導していきます。 

4.マッチング

マッチングとは自分の行動や言動などを相手に合わせていくことです。

①ミラーリング

ミラーリングとは相手の動きや動作、表情などを鏡で反射したかのように同じ動きをしていくことをさします。特に、相手の身振りや手ぶりがダイナミックに動いてきた時などに同様の動きをすると同調効果が高まります。

②クロスミラーリング

相手の行動の特徴に合わせて自分の動きも変えていくことをクロスミラーリングと言います。例えば、相手が早口だった場合、相手が一呼吸打つたびにゆっくりと相槌を打つのもクロスミラーリングと言えます。このように相手の行動に合わせて、自分の行動を変えることで、相手は次の動作に出る前にこちら側の行動を確認してから動き出すようになるのです。

③ペーシング

相手の声のトーンや呼吸、話すペースやリズムなど相手のペースに合わせていくことをペーシングといいます。ミラーリングが動作を中心に同調するのに対し、ペーシングはペースを中心に同調していきます。

④リーディング

ミラーリングやペーシングで相手との同調が強くなってくると次第に、相手が自分のペースに合わせてくるように振舞います。この状況になると相手との間にとても強い結びつきが出来てきます。

5.描写的マッチング

相手の動作やしぐさについて言葉に出して説明をすることです。

「今、あなたは座っていますね。そしてペンを片手に取っています。また、首をかしげて汗を拭きとりました。そして、第一ボタンを広げましたね。」

などと、こちら側から受け取る相手の動作を相手に伝えていく方法です。この方法を用いることでの得られる効果は主に2つです。

①ラポールを築ける

ラポールとは信頼という意味です。描写的マッチングは相手個人の体験に立ち入りすぎないため、相手から信頼を得られるという効果があります。

②トランスに入りやすくなる

トランスに入るには、注意集中の狭まりという定義があります。相手の身体や周囲の環境について話をすることで、その人の注意集中の焦点を狭めてトランスに入りやすくなる効果があります。

6.許容的で力を与える言葉

許容的な言葉の例1

どういう事かと言いますと、「あなたは眠くなる」と言われれば、眠くならない人には「眠くならねーよ」と思われてしまうわけです。しかし、「あなたは眠くなるかもしれませんし、眠くならないかも知れません。私には分かりません。」といえば、どうでしょう?

クライアントは自分の考えを断定されていないため、この言葉を否定する理由はありません。許容的な言葉というのはこのように相手の感じていることや、考えていることをも許容できる言葉をさします。

許容的な言葉の例2

「あなたは気持ちよく椅子に座っていることも出来るでしょうが、必ずしも気持ちよさは必要ありません。」

この言葉も許容的な言葉です。気持ちよく椅子に座っていることが出来ていないクライアントであれば、気持ちよく座る必要はないという言葉を聞いて、許容された感覚を受けます。そうすることで、心の中での反発心はなくなります。

7.分割

①意識と無意識の分割

催眠では特に意識と無意識の分割を利用します。例えば、意識上ではトランスに入るということを疑っていても、無意識的にはトランスに入ることを受け入れているという暗示をかけることで、トランスにかかりやすくなっていきます。

誘導の例

意識的には、トランスに入ることがどんなことなのかをあなたは実際に知らないかもしれません。無意識の心は、すでにトランスに入っていきながら、たくさんの体験をしているかもしれません。意識的には、そこに座ってこれがトランスに入ることなのかなと不思議に思っているでしょう。そして、もうすでにあたなの無意識はトランスに入るための手助けを始めています。

ミルトンエリクソンの催眠療法入門より

解説

上記の誘導の例では、意識と無意識を意図的に分けながらクライアントに暗示をかけています。そして、意識に語りかける時にはより強調した声で、無意識に語りかける時にはささやくような声でと切り替えて行きます。

そうすることで、意識と無意識に境界が設けれれるため、より暗示にかかりやすくなります。

②現在と過去、未来の分割

現在の自分を未来や過去の自分の視点からとらえることができるのです。

誘導の例

「すべての目標を達成している将来の自分を思い描いてください。その将来の自分から今のあなたを振り返ったらどのように声をかけてあげたいでしょうか?」

「過去にもっとも充実していた瞬間を思い描いてください。それはいつですか?どのような時ですか?今おなじ気持を抱くには何をしていけばよいのでしょうか?」

解説

今と未来、今と過去を分割して分けることで現状を客観的に分析できます。そして、どうしたら、そのような状況になるのか?ということを客観的な視点を持った状態で本人が考えていくことが出来るのです。分割することでトランスに入っているからこそ、今の自分を客観視することが出来てきます。

8.凍結

分割を補足する技法が凍結です。凍結とは、つながっていない二つの物を一緒に結びつけることをさします。

①接続詞

「そして」を使い、ふたつの言葉を結び付けていきます。「あなたはリラックスしています。そして、あなたはトランスへと入っていけることが出来るでしょう。」

②随時性の暗示

「~すると」「~する間に」「~するとき」を使います。

随時性の暗示の例

「あなたがリラックスしている間に、あなたはトランスへと入っていけることが出来るでしょう。」

③随時性の凍結

「こうしていると、ああなります」

「こうしていないと、ああなりません」

「こうしていると、ああなりません」

という種類があります。

③因果的凍結

「あることが起こります」と要求したりすることです。この凍結は許容的な言葉ではないため、人によっては指示を出されたと反発を招いてしまう可能性が高い言葉です。よって、抽象的な表現を伝える時に使用するべき言葉です。

因果的凍結の例

「トランスの中にいるので、無意識の心にたくさんの創造的な考えがもたらされます。」

このような抽象的な表現の場合、クライアントは因果的凍結を使われたとしても、概念が抽象的すぎるため、支持を出されたと受け取ることが出来にくいでしょう。

9.散在

散在とは字のごとく暗示を言葉の中に散在していれていくことで、相手の無意識に暗示を浸透していく技術です。

散在の例

「さて、トランスに入ることをあなたが意識的に信じているかどうか私にはよくわかりません。そして、またどのくらい深いトランスに入り、どのくらいはやくトランスに入るのか私には見当がつきません。」

ミルトン・エリクソンの催眠療法入門より引用

10.混乱技法

正反対の言葉を配置して意識の心を混乱させます。そして、混乱を引き起こすことでトランスに導いていく方法です。

混乱技法の例

「トランスに入るには正しい方法がありますが、誤った方法でもトランスに入れます。誤った方法でトランスに入るには、正しい方法を行わなければならないという意識さえ必要ありません。正しくトランスに入るには自然と心がリラックスしている時ですが、心がリラックスしていない時でも誤ったトランスではありません。」

解説

今回の例では「正しい」と「謝った」という正反対の言葉を交互に会話に入れながら、意識上の混乱を引き起こし、トランス誘導に導く内容となっています。

人間の夜の寝際の心は、 「特別無条件同化暗示感受習性」という状態 になっている