塩化カリウム徐放錠600㎎
成分名:塩化カリウム
先発品:スローケー(販売中止)
後発品:塩化カリウム徐放錠 600mg「St」(旧名称:ケーサプライ)
<作用機序分類>
徐放性カリウム剤
<予想される疾患>
適応:低カリウム血症の改善
(予想)
ギッテルマン(Gitelman)症候群、バーター(Bartter)症候群に伴う低カリウム血症に対するカリウム補助治療
薬剤性低カリウム血症(利尿薬、甘草を含む漢方薬、グリチルリチン製剤、アミノグリコシド系抗菌薬、副腎皮質ステロイドなど)
下痢、嘔吐によるカリウム不足
低クロール性アルカローシス
<服薬指導>
[効能説明]
「不足しているカリウムを補う薬です。」
[用法用量]
通常成人には1回2錠(塩化カリウムとして1200mg)を1日2回食後経口投与する。
年齢、症状により適宜増減する。
1錠中にカリウムとして8mEq含有
[服薬フォロー]
<血中カリウム濃度測定>
基準値:3.6-4.8 mmol/L
低カリウム血症の基準及びグレード:共用基準範囲対応CTCAE v5.0 Grade定義表より
Grade1<3.6-3.0 mmol/Lで症状がない
Grade2<3.6-3.0 mmol/L; 症状がある; 治療を要する
Grade3<3.0-2.5 mmol/L; 入院を要する
Grade4<2.5 mmol/L; ; 生命を脅かす
※mmol/L=mEq/L(カリウムの電荷は1であるため)
低カリウム血症の症状例:
「手足の力が抜けたり弱くなったりする」、「手足のだるさ」、「こわばり」、「筋肉痛」、「麻痺」、「不整脈」など
副作用
・消化管の閉塞、潰瘍又は穿孔
胃痛、腹痛、吐き気、嘔吐、吐血(コーヒー色のものを吐く)、下血(血液便、黒いタール状の便)
観察を十分に行い、嚥下時の疼痛、激しい嘔吐・腹痛・腹部膨満、消化管出血等があらわれた場合には、直ちに投与を中止する。(添付文書)
・心臓伝導障害(高カリウム血症)
だるい、手や唇のしびれ、脱力、吐き気、下痢、息切れ、脈拍低下、脈の乱れ、不安感、取り乱す、けいれん、胸が苦しい、、脈が遅い(50/分以下)、めまい、ふらつき、失神
徴候、症状:通常経口投与では重篤な高カリウム血症があらわれることは少ないが、排泄機能の異常等がある場合には起こることがある。一般に高カリウム血症は初期には無症状のことが多いので、血清カリウム値及び特有な心電図変化(T波の尖鋭化、QRS幅の延長、ST部の短縮、P波の平坦化ないしは消失)に十分注意すること。なお、筋肉及び中枢神経系の症状として、錯感覚、痙攣、反射消失があらわれ、横紋筋の弛緩性麻痺は、呼吸麻痺に至るおそれがある。また、大幅な過量投与で本剤が胃石を形成した事例が報告されている。本剤による胃石は薬剤摂取から数時間に渡り、継続的な塩化カリウム放出の原因となる。(添付文書)
Q:糞便(うんち)中に錠剤が残っているが大丈夫か?(ゴーストタブレット、ゴーストピル)
A: 「ゴーストタブレット」という現象で、効能効果には特に問題ありません。
この薬は、徐放性製剤といって、有効成分の外側にコーティングが施されており、体内で徐々に溶け出して長い時間作用するように工夫されています。このコーティングだけが残って便中に排出されたものが「ゴーストタブレット」です。 有効成分自体は体内で溶け出して吸収されていますので、効果などに影響を与えることはありませんので、ご安心ください。薬を服用する時に、多めの水で飲んでいただくと、起きにくくなります。
Q. ギッテルマン(Gitelman)症候群、バーター(Bartter)症候群における低 K 血症に対する治療にはグルコン酸カリウムやL-アスパラギン酸カリウム(アスパラカリウム)は使用せず、塩化カリウム製剤を使用する?
A. その通り。
ギッテルマン(Gitelman)症候群、バーター(Bartter)症候群は低カリウム血症,代謝性アルカローシスなどを特徴とする先天性尿細管機能障害に伴う症候群である。
細胞外の重炭酸イオン(HCO3–)が過剰になったアルカローシスの時はHCO3–に変換されない無機カリウム(塩化カリウム)を使用する。
細胞外の重炭酸イオン(HCO3–)が少なくなっているアシドーシスではHCO3–に変換される有機カリウム(グルコン酸カリウム、L-アスパラギン酸カリウム)を使用する。
<ギッテルマン(Gitelman)症候群、バーター(Bartter)症候群は低カリウム血症の治療>
K 補給薬 (80~300mEq/日)を投与するが,血清 K の上昇はアルドステロン分泌を促すのでアルドステロン拮抗薬であるスピロノラクト(50~500mg/日)を併用する。アスパラギンを含有する K 補給薬は,アスパラギン酸が代謝されて HCO3-となりアルカローシスを助長するので,使用しない。
小児慢性特定疾病情報センター ギッテルマン(Gitelman)症候群
参考:
漢方製剤による低カリウム血症,偽アルドステロン症 プレアボイド広場