されど、死ぬのはいつも他人ばかり
2018.02.10 00:04
【wording】【こんな話】
フランス生まれの美術家(!)で「ニューヨーク・ダダ」の中心人物の
マルセル・デュシャンの墓碑銘に刻まれている言葉。
「されど、死ぬのはいつも他人ばかり」
寺山修司はこの言葉が好きで、『地獄編』の中で、「自分の死を量ってくれるのは、
いつだって他人ですよ。それどころか、自分の死を知覚するのだって他人なんです」とある。
考えてみれば、「死ぬか生きるか」は自分で判断できるけど、「もはや死んでいるのか、
それとも生きているのか」は他人の判断によるしかない。
『山田太一の寺山修司への弔辞』:1983年
「あなたは『死ぬのはいつも他人ばかり』というマルセル・デュシャンの言葉を口にして
いたことがありましたが、そして、あなたの死は、私にとって、もとより他人の死である
しかないわけですが、思いがけないほどの喪失感で──あなたと一緒に、自分の中の一部が
欠け落ちてしまったような淋しさの中にいます」