2月11日は「建国記念の日」(紀元節)
写真は、神武天皇陵(出所:橿原市)
http://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_kankou/kankou/spot/jinmu.html
2月11日は、国民の祝日「建国記念の日」です。全国各地で、民間主導で様々な記念式典や奉祝行事が開催されています。
・「ようこそ日本のはじまり」橿原神宮 http://www.kashiharajingu.or.jp/
「建国記念の日」は、「建国をしのび、国を愛する心を養う」という趣旨のもとに、「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する」(祝日法)国民の祝日です。
安倍政権になって、「建国記念の日」のメッセージが発出されるようになりました。
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/discourse/20180211message.html
●紀元節が建国記念の日へ
「建国記念の日」は、戦前は「紀元節」でしたが、敗戦直後GHQの占領政策によって廃止されてしまいました。戦後国民の多くの要望や運動によって、昭和41(1966)年に祝日法が改正され、翌年から「建国記念の日」として復活して今日まできました。
わが国の建国の日が2月11日なのは、初代神武天皇即位の日であるところからきています。日本書紀によると、初代神武天皇が橿原宮(奈良県橿原神宮)で即位した日が「辛酉年春正月 庚辰朔 天皇即帝位於橿原宮」とあり、明治維新後に新暦換算して、紀元前660年2月11日と定めました。そこから、皇紀が生まれ、西暦に660年を足すと今年の皇紀が分かります。
●国を愛する心を養う
平成30年2月11日に橿原神宮を参拝
私達は一人で生きていくことができません。生まれた時から家族、保護者がいなければ、成長もままなりません。成長していくためには、家族や保護者に守り育まれ、学校や地域で学び、成人して職場で働いて糧を得ていく必要があります。そして、現代では余り意識されることが少ないのですが、個人、家族や地域、職場を守るために国があります。外国勢力の容喙を許さず、交渉し、海外の邦人を守り、国内の治安を守り、税金を徴収し、公共投資を行い、経済活動を支援し、医療福祉教育等で国民を支えます。つまり、国がなければ、私達は生きていくことができないといっていいでしょう。
国が維持され発展していくためには、自分や家族を守るとともに、国民として国に貢献する気持ち、「国を愛する心」が必要です。「国を愛する心を養う」ためには、国を知ることから始まります。国を知るためには、その歴史を学ぶことであり、特に原点を確認することが大事だと思います。つまり、「建国をしの」ぶことです。
●建国をしのぶ 神武天皇 橿原宮建都の令
日本書紀には、神武天皇による橿原宮建都の令として、次のように記載されています。
「東征についてから六年になつた。天神の勢威のお蔭で凶徒は殺された。だが周辺の地はまだ治まらない。残りのわざはひはなほ根強いが、内州の地は騒ぐものもない。皇都をひらきひろめて御殿を造らう。しかしいま世の中はまだ開けてゐないが、民の心は素朴である。人々は巣に棲んだり穴に住んだりして、未開のならはしが変はらずにある。そもそも大人(聖人)が制を立てて、道理が正しく行はれる(義必ず時に随う)。民の利となるならば、どんなことでも聖の行ふわざとして間違ひはない。まさに山林を開き払ひ、宮室を造つて謹んで尊い位につき、民衆(元元おおみたから=百姓)を安んずべきである。上は天神の国をお授け下さつた御徳に答へ、下は皇孫の正義を育てられた心を弘めよう。その後、国中を一つにして都を開き、天下(八紘)を掩ひて家(宇)と為すことは、また良いことではないか。見れば、かの畝傍山の東南の橿原の地は、思ふに国の真中である。ここに都を造るべきである」
●建国の理想 君民共治 大家族主義
神武天皇は、一般庶民のことを「元元」(おおみたから)と呼び、国の元であり、宝であり、国中(八紘)を一つの大きな家(宇)と為す(八紘為宇)と述べています。君は民を思い、民とともにわが国を治める君民共治の理想、大家族主義が、建国時から明確にされています。その考え方は125代の万世一系の皇統とともに、紆余曲折を経ながら現代まで脈々と受け継がれていると思います。
初代神武天皇が実在するかどうかという論争がありますが、神武天皇の掲げた建国の理想が、国難の中明治維新の原動力となり、わが国の近代化の背骨になったことは間違いない歴史的事実です。今でも4月3日には、宮中や橿原神宮はじめ全国各地で、神武天皇を偲ぶ祭祀が斎行されています。昨年は2600年式年祭であり、今年は2601年目となります。
現在わが国は、厳しい安全保障環境の中にあります。また、急速なグローバル化の中で、経済や国民生活に大きな影響が出ています。だからこそ、「建国をしのび、国を愛する心を養う」建国記念の日が、今後益々重要になってくると思います。