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超人ザオタル(81)拒絶の壁

2022.08.18 11:21

「ザオタル殿、この瞑想に何か意味があるのでしょうか。

時間にして、…確か十分ほどですかな。

その間、私はただ静寂の中におりました。

それはいいものだと知っています。


何もなく、誰もいない。

静寂だけがある。

それが私の本質であると知っています。

ええ、それはいつもの瞑想と変わりありません。


ザオタル殿が一緒に瞑想と言うからには、

何かそこにもっと深い意味があるのではないかと思いました。

しかしですな、いつもと変わらない瞑想でした」

アジタは釈然としないとでもいうような顔をした。


「アジタ殿。

まだそこには見落としているものがあります。

いずれにしても、まだ道は続いているのです。

アジタ殿が言うように、完成を目指すのであれば、


あの道を行くべきではないでしょうか。

いまはそれが完成しない道だということでも構いません。

再び草原行き、その見落としていたものを探すのです。

時間はかかるかもしれません。


それでも、それ以外にこの世界で、

アジタ殿が時間をかけるべきものなどあるでしょうか。

まだ一時の幸福をつかみたいでしょうか。

まだ満たされた夢の中に浸りたいでしょうか。


そうでないなら、失われることも色褪せることもない

本当の自分、自分の根源、その存在を見つける。

そうすべき時が来ています。

いつもと同じ瞑想なら、自らそこを超えていくことです。


超えるためには、何かを変えなければいけません。

自分の中に起こる気づきに導かれて。

僅かな光を見逃さないことです。

やり残しているのなら、もう一度そこに戻らなければ」


アジタを草原に戻さなければならない。

もし戻るなら、そこで真実を得るだろう。

アジタにはそれができるのだ。

「いやいや、ザオタル殿。


私は十分に草原を堪能しました。

もうそこに戻るつもりはありませんな。

瞑想での静寂の時間を持つだけで満足ですし、

そこにはいまも草原の静謐があふれているのです。


それ以上のことなど何もないでしょう。

私にはわかります。

ザオタル殿が言われる本当の自分、

存在ですか、それもあるかもしれません。


もしそれが分かったとしても、どうなのでしょう。

ただの自己満足にしかならないでしょうな。

むしろ、それは瞑想の静寂を乱すもの。

いうなれば、雑音みたいなものです。


それをわざわざ草原に戻って、

手に入れようとは思いません」

アジタはそう言って腕を組んだ。

親しげに微笑んではいるが、拒絶の壁が築かれていた。