小森先生のイラストとFIAT500
学生時代に私が描いたFIAT500のイラスト。ベッド下の収納から発掘しました。
今から40年近く前の話です。私は学生の頃からFIAT500を 3台乗り継いで来ましたが、このポスターを描いた頃は、まだ愛車として実際に手に入れる前。憧れを抱きつつ絵に表したものです。背景の処理、窓ガラスやホイールキャップの写り込みの表現など、とても拙くて恥ずかしいのですが、せっかく発掘したので、スキャナで撮ってレタッチしてお披露目です。B3サイズのイラストなので、家庭用プリンタ複合機のA4スキャナでは、分割して撮らねばなりませんでした。繋ぎ目をごまかすため、画像処理のアプリを使用。レタッチと言っても最小限で、ポスターカラーの色むらや、紙の汚れもそのままです。
父の仕事の関係で、子どもの頃からいろんな画材に触れることができました。エアブラシを初めて使ったのは、中学生の頃。マスキングテープで部分的に隠しながら、ポスターカラーを吹き付けることで、綺麗なグラデーションを自在に生み出せるこの技法の虜に…。でも使いこなすまでには至りませんでした。
このイラストで注目してほしいのは、エアブラシではなくて他の技法。FIATの車体ではなく、草地の表現技法にご注目ください。
ドリッピングと呼ばれているらしいのですが、紙と水彩絵の具ならではの技法です。絵の具を含ませた筆を片手で持ち、その手や筆をもう片方の手で叩くと、絵の具の飛沫が紙に飛び散ります。細かい点々模様をランダムに付けたい時に使う技法です。よく乾かした後に違う色で重ねると、なんとも言えない不思議な質感が得られます。
なんて、偉そうに解説してしまいましたが、実はこの技法を巧みに使いこなすプロのイラストレーターさんがいらっしゃいます。その方のお名前は小森誠先生。
「いつかは自分もこんなステキなクルマのイラストを仕上げてみたい」と憧れていました。作風を真似ていろいろ試しているうちに、憧れていたFIAT500を、憧れの技法を使って絵に表すことができたというわけです。
小森先生は、私が学生だった当時、CAR and DRIVER というクルマ雑誌の表紙を担当されていました。とても明るくてポップな印象の作品が多く、中身の記事もさることながら、表紙のイラストが欲しくて購入する号もありました。
「小森誠のイラスト図鑑」というサイトにその作品のいくつかを紹介なさっています。↓
いかにも名車というようなツヤツヤの質感を避けているのがミソ。表面の凹凸が特徴的な紙をセレクトし、わざと紙の質感が出るようにエアブラシで吹き付けていらっしゃいます。
ドリッピングは車体ではなく、路面や背景に使用。特にこの作品のアスファルトの表現は秀逸です。↓
実際のアスファルトはこういう色や模様ではありませんが、アスファルトっぽく見えてしまう。しかも、無味乾燥なはずのアスファルトが背景のほとんどを占めているにもかかわらず、ドリッピングを数色重ねることで、作品全体を軽快で明るい雰囲気にしています。すごい!
自分が実際にFIAT500のオーナーになった頃には、小森先生はCAR and DRIVER
の表紙は担当されてはいなかったと記憶しています。表紙が他の方のイラストに切り替わった時、とても残念な気持ちだったのを覚えています。以降、CAR and DRIVERを買って読むことはなくなってしまいました。小森先生のイラストにお目にかかれる機会も、ぐっと減ってしまいました。
しかし、まさかの再会は、FIAT500を通して果たされたのです。
2台目のFIAT500を手に入れてからの私のクルマ趣味は波に乗り過ぎ、オーナーズクラブの代表を務めるまでになっていました。私たちのオーナーズクラブを、ムックで紹介していただくことになり、取材を受け、発売を心待ちにしていたこともありました。そのムックはNEKO PUBLISHINGの「I LOVE FIAT500」。
発売日に書店に並んでいるのを見て、驚きました。なんと表紙が小森先生のイラストではありませんか!FIAT500が、小森先生のイラストとの再会をとりもってくれたような、不思議な縁を勝手に感じていました。小森先生は「I LOVE〜」シリーズの他に、同じNEKOムックの「Let’s PLAY〜」シリーズの表紙も手がけていらっしゃったのです。
結婚して子どもを授かり、読み聞かせる絵本を選んでいる時に2度目の再会。なんと、小森先生作の絵本を発見したのです。迷わず購入。
「バルンくん」
「ダットさん」
「このおとだれだ?」などなど…シリーズものもあり、作者名をひらがな表記の「こもりまこと」に変更なさいましたが、小森先生は精力的に執筆なさっています。特に「このおとだれだ?」にはFIAT500が登場し、私の大のお気に入りです。このFIAT500が主人公の「ちっちゃなプルプルくん」という作品もあるそうですが、絵本単体としての販売ではなかったようで、私は残念ながら読んだことがありません。
ぜひFIAT500を主人公にしてもう1作!いかがでしょうか?しかもドリッピングマシマシで!小森先生、お願いします。