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射撃の大学

散弾ショットコロンの細かい話

2022.08.21 11:13

今回は「ショットコロン」について話していきたいと思います。

早速ですが散弾銃の散弾ってどんな飛び方をしているとイメージしてますか?

その情報は世界的にもかなり少なく、散弾銃の歴史はそこそこ長いにもかかわらず、どちらかと言えば感覚的で科学的な検証はあまりなされていないのが現状、なかなかイメージがつかみづらいところがありますよね。

そこで今回は私の「考察」と「検証」に基づいてある程度科学的にショットコロンを見ていこうと思います。


先に「パターン」がよくわかる動画を紹介。

これらはチョークによって、パターンがどれくらい変わるか?みたいなことを話しているようなのですが、平らな鉄板に散弾を打ち込むとどんなパターンが現れるかを見ることで、皿や獲物に当てるイメージをつきやすくなるかと思います。

ただこのパターンに皿が入っていても実際は割れません。これが難しいところで。

どちらの動画でも平筒やスキートチョークだと、20mで直径100cmまでパターンが広がっているという説明があります。ということは、狙点が半径50cmずれていても当たるはずです。でも実際はそんなにずれたらカスリもしません。

これはあくまでも平面に対して撃ち込んでいるので、ショットコロンを真後ろから見たものであり、真横から見ると、もっと「伸びて」います。

上記youtubeで見た通り、平筒やスキートチョークで20m進行したの場合のパターンが約1mまで広がっているとすると、

このような形で、横から見ると長く伸びているような形になるはずなのです。なぜなら、9号などの小さな散弾は空気抵抗を非常に受けやすく、抵抗を受けた粒玉は速度が下がりショットコロンの外側に弾かれ後ろの方に移動していくためです。また分散すればするほど空気抵抗の影響が大きくなるため、後ろに移動し分散した粒玉はさらに後ろに移動しようとます。よってパターンが直径1mだとしたときに、横に伸びる距離は1mよりは大きくなるのでは、と予想することができます。


このとき「皿を割るエネルギーがある範囲」がどこかが重要になる

実際弾やチョーク等によって大きく変わってくる部分ではあるのですが、大まかにいうと、ショットコロンの中の先頭部分は密度が高く「鉛の塊」に近い状態で飛んでいるので、粒玉単体に比べて遥かに空気抵抗に強くエネルギーを多く持っています。ですがそこから離れた粒玉は減速を始め後ろに外れていき、その後急激に減速がおとづれてエネルギーを失う、というストーリーを3段階にわけて当てはめてみると、このような図になるはずです。


的中範囲は意外と小さい

これが正しいとすると、ショットコロンの中で的中(皿が割れる)部分はどこになるか、というと、以下のような形になります。

「芯を食った」みたいな言い方をされることもある、パウダークレーでもないのにクレーが粉々になる時は気持ちいいですよね。これは、ちょうど赤部分のエネルギーが強い部分にしっかりクレーが入った場合で、そのショットコロンが皿に与えられるエネルギーの最大量がかかるために粉々になるわけです。

あとは芯は食っていないけど、半分に割れたとか、3つぐらいに割れた、っていうのは緑の部分をしっかりと通ったことによって、ある程度エネルギーの残った粒玉が複数個連続で皿に衝突するために割れる、という感じ。

このとき「緑がカスる」程度の部分は、運が良ければ「欠け」が出る程度であり、ほぼここは失中と考えて良い部分。そう考えると、この図が正しければショットコロンの約6割以上が失中となります。ショットコロンが1mあっても、皿が割れるのは中心から20cm以内で、それ以上ズレると割れないということがこれからわかると思います。


的中させられる距離とショットコロンの関係

もしパターン通りのショットコロンに入って皿が割れるのであれば、トラップやスキートの逆ダブル後矢など、逃げていく皿でも走らせるほどパターンは広がるので当てやすくなるはずが、これも当たりません。というかいいところ撃っても割れませんよね。これについて説明してみたいと思います。

ショットコロンのエネルギーの状態を時間経過で考えてみると、ショットコロンに入っていても皿が割れない、というのがわかると思います。

エネルギーの状態としては、銃口から飛び出した瞬間は粒玉がワッズで囲まれているので、初めは全ての粒玉が塊になって同じスピード(初速)で飛び出します。ワッズが外れた段階である程度分散を始めるので、全体がほぼ赤で、最大になります。(図の1)そこから、赤部分が緑に変化を始めていくので、赤は小さくなっていきながら緑が大きくなります。(図の2)その後赤が適度に残っている状態で緑が最大を迎えます。(図の3)緑がある程度大きくなると、赤から緑に移行する粒玉より緑から青に移行する方が多くなり、そこから青が大きくなっていき緑も小さくなっていきます。(図の4)その後実質的に赤は消失し緑もどんどん小さくなり、皿を割るエネルギーが残る限界がやってきます。(図の5)そして、図にはありませんが、全て青になり全てが急減速して落下していく、といった具合。

このとき、「青に皿が入っても割れない」ため、1〜3の状態でないと事実上割れる範囲が非常に狭いことになるわけです。

トラップなどの追い矢やスキートの逆ダブルの後矢などが「いいところ撃ってるはずが割れない」のは、エネルギーの状態が4や5になっていて、許される誤差がほんの2〜3cmで、もし当たってもエネルギー不足というのがイメージできるかと思います。


まとめ

今回の話は私の「考察」であり、実際はもうすこし違った現象が起きることもあるかと思いますが、一応実際にやってみると思う「不思議」なことには結構これで説明がつくのではないかと思います。

また、弾選びをするときにもこのイメージが役に立つかと思います。例えは弾速が早めで当て感がよく「狙って撃つ」感じができる競技弾などは、赤のエリアが広めで結構しっかりしていて、緑の粘りがありショットコロンの長さ自体も短めになる、というようなイメージ。逆にもっさりしていてショットコロンに皿を「飛び込ませる」ように撃つ弾は、ショットコロンが長めで、赤がほとんどなく緑が早めに広がる感じでしょうか。

どうしてもいつもの弾が手に入らないから、仕方なく射場で別の弾を買う、なんていう時はよくあると思います。このときに、「あれ、なんか当たらないな、」と思ったら、このイメージを思い出して、弾の特性の差をみてみるともしかしたら慣れるのが早いかもしれません。


チョークを変える時も、広げる=弾のエネルギーの時間変化を「はやめる」ということで、絞る=「遅くする」と考えるとわかりやすいかと思います。スキートで9.5号を使うときや、逆ダブル後矢などの時は、エネルギーが上記の4や5に移行していて当たっていてもわれない、ということがあるので、少し絞ってやって遠くても4に移行しないようにする、というようなイメージであったり、トラップでは初矢がフルチョークで早く取る場合、まだ2ぐらいの状態で緑面積が小さすぎるから少し広げてちょうど3ぐらいで当てれるようにする、などです。


弾の差、チョークの差というのも細かい差ではあるけれど、時にこれで大きく調子を崩したり、後一枚が取れない、なんてこともありますから、ぜひ参考にしてみてください。