私の大切な人、曽祖母との約束
離れ家に暮らしていた曽祖母。
いつも着物を着て縁側で本を読む姿は美しく、
大切なことをたくさんのことを教わりました。
その中から曾祖母との会話を一つ。
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曾祖母曰く
『人は正直に誠実に全心全力で他人様のために、愛を降り注ぎ、一所懸命に働き、「お天道様・宇宙にいかがでしょうか?」って、【徳】を渡しておけばいいんだよ。お天道様は正直で決して裏切りません。勘定違いなんてしないんだよ!
だからな、輝。他人様にばかり当てにしたら、その他人様に迷惑かけるだけ。だから絶対にやっちゃダメだな。当てにするなら私に(曾祖母)にしなさい。』
『そして、他人様に対して「いったいこんな未熟な私でも今の私でも何かできることがありますか?」って心がないとダメ。もっとしっかり生かされた生命を生きなさい!』
『「輝がどう生きるか」なんて、そんな傲慢な考え持ちなさんな!!「輝がいないと困る」って他人様に言われる生き方をしなさい。
いいか、輝。いい加減に生きるのは辞めなさい。もっと【損】して【徳】を積みなさい。他人様から御礼を言われよう、褒めてもらおうなんて、【得】を得ようなんて、ちっちゃいことを考えなさんな。
そんな、自我にまみれた考えで人生を生きていたら、決してたくさんの人のお役に立つことなんて、さらさらできやしない。』
『輝は愚直に誠実に一所懸命に生きなさい。それで、倒れてもいいから。そういう時は、必ずお天道様が助けてくれるから。決して、無駄にはならない、意味がないなんてことにはならないんだよ。ちゃーんとちゃーんとお天道様が見てくれる。
そしてな、すぐにお天道様はご褒美をくれない、輝が必要なときに必要な量だけ、ご褒美をくれる。すぐにもらえるなんて、傲慢な損得にまみれた考えもしちゃいけない。そんな、弱い男になってはいけないんだぞ!
だから、輝は大切なことを大切にして、お天道様にたくさん【徳】を渡しておきなさい。お天道様は正直。そして、他人様から「ありがとう。」って、たくさん言ってもらえる輝になりなさい。』
輝曰く
「曾祖母さま、僕は曾祖母さまにどんな徳ができるの?」
曾祖母曰く
「は、は、は!(笑)なーんもいらないよ、輝がこうやって話し聞いてくれるだけでいい。それが、徳になってるよ。
欲を言えばね、私が死んだ時に毎週お墓参りにきて欲しい。また、お話ししよう。」
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曾祖母が亡くなってから、
毎週のお墓参りが私の人生の一部になりました。
そして、お墓に行く度に私はこう唱えます。
「曾祖母さま、成仏してくださいませ。生かされていることに感謝しています。何か間違いを起こしたならば、私に天罰を与えてください。いつも本当にありがとうございます。」と。
曾祖母は私が生まれる時に、
お百度参りをしてくださってました。
そして、
丁度100日目の朝5時の参拝している時に、
私が生まれました。
この話を聞いた時に、
「愛」の偉大さで涙が溢れました。
曾祖母は、私の誕生日になくなりました。
私の手を握って亡くなりました。
無くなる直前、曾祖母は、
大きな声でしっかり私にこう伝えてくれました。
「輝は他人様から後ろ指を指されるようなことを、絶対絶対にしてはいけない。他人様のために生きなさい。」
そう強く手を握って亡くなりました。
生き様を見せてくれました。
みなさんも生きていれば、
焦りもあるでしょう、不安もあるでしょう、
心配もあるでしょう、迷う心もあるでしょう。
そんなときには、
「損得」を基準でなく「尊徳」を基準に。
生かされた生命を、今を、
一所懸命に過ごしてみてください。
大切なことを大切に生きてみてくださいね。
大丈夫。必ずお天道様はご褒美をくれます。
(追記)
中島家は元造り酒屋の商い一家なので、お天道様やお先祖様を普通の家庭よりも大切にしています。
『大丈夫。そのつらい日々も光になる。』には、こういった中島輝のエピソードが詰まっています。ヒストリーでは本書の一部が読めます。