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射撃の大学

弾速と狙い越し

2022.08.27 08:03

今回は「弾速」がどれくらい「狙い越し」に影響するか考えてみます。

正直、私自身これをナメていて、当たるはずのショットが外れ、外れるはずのショットが当たる。この修正ができずになかなかに空ばかり撃っていてだんだんメンタルが凹む、なんて経験があります。ただ、色々調整するうちに数値的な変化がこんなにも射撃に差が出るのか!というのを最近気がついたわけです。

早速いってみましょう。

細かい数字で計算するとわかりにくいので、一番狙い越しの大きくなるスキート4番射台 (皿はだいたい65mぐらい)を、およそ現実的に近しい数値に置き換えて計算してみると、上の図のようになります。実際の撃ったことがあれば、その感覚にも近いと思います。

弾の弾速(平均弾速)によって、現実的にも最大で50cm近く狙い越しが変わってくるわけで、そりゃ弾選びも重要ですよね、という話。


トラップはより複雑

スキートの場合、撃破ポイントになるクオーターからセンターポールまでの間は基本落下しませんし、射手と撃破ポイントの距離も平均するとおおよそ20m。また毎回三次元的には同じ場所を皿が通っているため、上記の図からごく簡単に考えると、標準的な弾で三次元的には「皿が飛ぶ放物線の1m先」を撃てば当たるというようなシンプルな考え方もできます。

これがトラップの場合、毎回皿の速度、三次元的にどのラインを通るか、放物線のピークはどこかなど、それぞれ違います。また、15mシングルトラップの場合、撃破位置が射手から30m〜45m離れており、弾は飛距離が長いほど急減速しますから、タイミングによっても誤差が大きくなります。つまり弾速などが与える影響が大きくかかります。追い矢で基本的な狙い越しは小さいですが、その分複雑になるので、感覚的には「不思議と当たらない」ようなことが起きやすく、これがトラップの難しいところと言えます。

この辺りの詳しい話はまた別の機会に。


狙い越しが小さくできればその分正確に狙える

「遅い弾の方が当てやすい」という方もいらっしゃいます。それは当然で、クレー射撃の特性上、「考えて撃つ」ような時間はありませんから、やはり「慣れた弾」の方がよく当たるわけです。ただ論理的には、狙い越しが仮に0だとすると、現物を狙って撃てばいいので当てるのは簡単です。つまり、狙い越しは小さければ小さいほど、理論上は狙いやすく撃破率も上がるということになります。「慣れた弾」が当てやすいなら、どんな弾になれておくか、という部分が重要になってくるわけです。


中間速で慣れるのがお勧め

長い目で見た時に、いつも同じ弾が手に入るとは限りません。当日射場でいつもの弾が手に入らないという時に、狙い越しの調整幅は当然狭い方がいいわけです。この時、普段から競技弾などの速い弾に使い慣れていたり、とても遅い弾に慣れていると、最大で50cm近く狙い越しを調整しなければならなくなり、全く射撃が別物、といった感じで完全に感覚が狂ってしまいます。ですが、普段を平均的な射速の弾を利用しておくと、違う弾になっても15cm程度の違いなので一応割れ、ますし、撃ち方やチョークなどで調整することができるわけです。


弾速(平均速度)に影響するのは弾だけではない

弾速に影響するのは、弾だけではありません。弾も当然影響が大きいですが、次に大きいのが「銃身長」で、その次が「絞り」になります。銃身長は長ければ長いほど初速が上がります。これは銃身内にワッズがある時は常に「加速」をし、銃口から出た途端に「減速」を始めるため。銃身長は普通簡単には変えられませんが、ロングチョークなどを使うと初速を上げることができますから、バランスがおかしくならない限りは、普段から使えるのであれば使っておいた方が有利かもしれません。

絞りに関しては、「初速」は変わりないのですが、その分「減速」の方に大きな影響があります。大雑把にいうと、平筒やスキートチョークは、広がるのが早い分だけ減速も早いため、平均弾速が低くなります。これがフルチョークであれば35m〜40mぐらいまではそこまで変わらないので、平均弾速は高めになるわけです。要は「到達時間」が変わります。

トラップはチョークを絞るのが基本ですが、早めに皿を割ろうとして、その分雑になるからすこしチョークを開いてパターンを広げた方がいいかも、と考えることがありますが、この場合弾の減速も早くなるので、弾との相性などで狙うのが余計に難しくなったり、全く当たらなくなる、なんていう事象もおきます。ただピタッとはまると面白いように割れるので、相性に左右されやすい部分であると言えます。

スキートの場合はチョークを開くのが基本ですが、少し絞ったほうがダブルの後矢など走ってしまった皿も割れ、到達速度が速い分だけ狙い越しを若干短くでき、割れ方で正確に芯がどこを通ったか目視でわかるようになったりするので、近年トップシューダーの間ではモデやインプシリンダーぐらいまで絞る人が増えてきているようです。ただ弾自体が「もっさり」しているものだと、思ったほど弾速が上がらなかったり、パターンに偏りが出て全然思った感じにならないこともあり、これも弾との相性が重要と言えます。


まとめ

とにもかくにも、弾の速度によって、狙い越しは最大で50cm近く違ってくる、というのが今回の一番重要なお話。弾にこだわるのもまた射撃の楽しみの一つでもありますが、近年は弾がなかなか手に入りにくい状況で、いつも思った弾で打てるとも限りません。どんな弾でも当てれるようになりたい、どんな時でも当てれるようになりたいならば、やはり一番「標準的な」弾を普段は使い、たまに速い弾や遅い弾を試してみて、調整方法を確立しておく、というのが最も現実的な近道かと思います。