2つの世界の間で
2つの世界の間で
Between Two Worlds/Ahasin Wetei
2090年11月23日 有楽町朝日ホールにて
(2009年:スリランカ=フランス:監督 ヴィムクティ・ジャヤスンダラ)
第10回東京フィルメックス
コンペティション作品
2009年の東京フィルメックスでは、すべての映画を観ることはできませんでしが、その中で、この映画を選んだ理由は、スリランカの映画だから、です。
スリランカの映画は観たことがなくて、わたしは、いろいろな国の映画を観てみたい、と思います。
初スリランカ映画。
といっても、この映画は、スリランカ観光映画ではありません(東京フィルメックスでいわゆる「観光映画」はありえないのです)
これが、スリランカです・・・といった説明的なものはほとんどありません。
街では暴動が起こっている・・・というシーンで不穏な雰囲気を感じますが、どういう暴動なのか・・はよくわかりません。
この映画ではある寓話が元になっています。
どこからともなく、空から海に落ちてきた一人の若者。
その若者が漁師から聞く昔話。
「かつて王が、自分の王座を奪われることを恐れて国中の男を殺した。
王子(たしか第三王子)は、木のうろに隠れて助かり、その後、父王を倒して、王座についた」
海から上がった若者は、いろいろな人に会いますが、その人たちは特に映画のストーリーにからむことなく、消えてしまう。
街では暴動・・・そして、若者が逃げるのは山奥の村。
そこは緑の草が生えていて、村の子供が、「今、暴動で若い男はすぐに捕まって殺されてしまう」とかくまいます。
しかし、軍のような追手がひたひた・・・・・若者は、背の高い緑の草の中に隠れ、森に隠れる。
この映画は緑や海といった自然の風景をたくさん映します。しかし、自然は若者をかくまいもするが、非常に危険でもある。
監督の言葉に、自然は巨大な暴力の場でもある、と語られていますが、確かに自然は、自然災害という言葉があるくらい人間がたちうちできない力を持っています。
ラジットという一人の若者は、草に隠れ、森に隠れる・・・・なぜ若者は逃げ回るのか・・・暴動とは何なのか・・・映画は全く説明をしません。
わからない、といえばわからないのですが、最後、ラジットが第三王子のように木のうろに入って、じっとしている姿から、寓話通りに行くと・・・・ラジットが「王座につく」
自然というのは、自然保護という「助けてあげる」という気持でいると、台風、地震などとんでもないこともおきる。
人間は、自然の一部として、高慢な「助けてあげる」ではなくて、自然と対峙しなければいけないのかなぁ、、、、というのがわたしの感想でした。
これが監督の言いたいことなのか、それはどうかわからないけれど、こういう自分なりの考えが、うむ。なんて思う映画はとても好きです。