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羽田空港アクセス線を考察する

2022.09.18 00:00

1.はじめに

 みなさんこんにちは。中学3年の**です。今回は、現在羽田空港に乗り入れている京急線・東京モノレールへの新たな刺客、JR東日本の羽田空港アクセス線について考察していきたいと思います。拙い文章になってしまうとは思いますが、どうぞ最後までお読みください。

2.羽田空港アクセス線の概要

(1)羽田空港アクセス線の路線構成

 羽田空港アクセス線は、羽田空港新駅(以下羽田空港駅)から新設するアクセス新線を通り、運行上の拠点となる東海道貨物線の東京貨物ターミナル駅へと至り、そこから新橋駅・東京駅を経由し上野東京ラインの各方面を結ぶ東山手ルートと、りんかい線を経由し埼京線・湘南新宿ライン方面を結ぶ西山手ルート、りんかい線を経由し京葉線方面へ直通する臨海部ルートに分かれる路線です。全ルートが合流する東京貨物ターミナル駅付近には2本の留置線の建設が予定されています。また、将来的には羽田空港新駅から羽田空港第3ターミナル付近への延伸も計画されています。


↑羽田空港アクセス線の路線構成

(2)各ルート紹介

①東山手ルート

 東山手ルートは、東京貨物ターミナル駅から休止中の東海道貨物線(通称大汐線)を通り、新設する単線の大汐短絡線から東京駅~新橋駅間にある田町駅付近で東海道線東京・上野方面に合流・直通するルートです。現在、羽田空港駅~東京駅間は京急線経由で33分、東京モノレール経由で28分のところを羽田空港アクセス線では18分程度で結ぶ予定となっています。さらに、このルートから上野東京ラインを経由して、高崎線・宇都宮線・常磐線へと直通する計画も立てられています。このルートはアクセス新線区間とともに2021年1月20日付けで国土交通省から第一種鉄道事業許可を受けており、2029年度の開業を目指しています。また、15両編成の列車による、片道毎時4本、1日72本の乗り入れが計画されています。

②西山手ルート

 西山手ルートは、東京貨物ターミナル駅で東山手ルートから分岐し、新設する東品川短絡線を介してりんかい線大井町駅付近でりんかい線・埼京線渋谷・新宿・池袋方面へ合流・直通するルートです。羽田空港~新宿駅間は京急線経由で41分、東京モノレール経由で46分のところを羽田空港アクセス線では23分程度で結ぶ予定となっています。このルートでは埼京線・川越線への直通が予定されています。また、中央線特急の乗り入れ計画もあります。

③臨海部ルート

 臨海部ルートは、東京貨物ターミナル駅に隣接するりんかい線の八潮車両基地から東京テレポート駅までの既存の回送線を複線化し、りんかい線から京葉線に直通し新木場・舞浜方面へ向かうルートです。現在りんかい線と京葉線は直通運転を行っていませんが、新木場駅に回送列車や臨時列車の通過実績がある連絡線があるため、それを介して直通します。羽田空港~新木場駅間は東京モノレール経由で41分のところを羽田空港アクセス線では20分程度で結ぶ予定となっています。

3.運行形態・車両を考察する

 先ほど東山手ルートについては上下線合わせて毎時8本の乗り入れ本数が計画されていると記述しましたが、西山手ルート・臨海部ルートを含めた合計の本数はその2倍超となるとの報道が2020年5月に共同通信からされました。これを基にしつつ、羽田空港アクセス線に関わる各路線の日中パターンダイヤにおける本数や運行形態、使用車両について考察していきます。使用車両については現時点で運行されている車両で考えるため、羽田空港アクセス線の開業時には新型車両などによる置き換えが行われている可能性があることをご了承ください。

(1)東山手ルート

 東山手ルートには、先述の通り上下線合わせて毎時8本、つまり片方向で毎時4本の列車が乗り入れることが明らかになっています。概要で述べたとおり東海道線から分岐する田町駅付近は単線でダイヤ上のネックとなるため、実際にはこれ以上の増発は厳しいものと思われます。

 本題に戻りますが、東山手ルートの毎時4本の乗り入れ本数の振り分けは、高崎線・宇都宮線・常磐線快速電車(取手駅・成田駅まで)・常磐線中距離電車(土浦・水戸方面)の各1本ずつの乗り入れとなると予想します。これによって大宮駅・我孫子駅から毎時2本、籠原駅・小金井駅・土浦駅から毎時1本の乗り入れとなり、需要に相応した輸送力となります。日中は常磐線特急も毎時2本運行されていますが、常磐線方面に限定した空港アクセス需要は特急を乗り入れさせるほどではないと考えられるため、ここでは乗り入れは考えません。

 運行形態についてですが、まず高崎線・宇都宮線方面の列車について、コロナによる減便前にはそれぞれ東海道線直通が毎時3本、上野駅折り返しが毎時1本ずつ、合計してそれぞれ毎時4本の列車が運行されていました。このうち上野駅折り返しの高崎線・宇都宮線の合計毎時2本を羽田空港駅まで延長します。

 次に常磐線の列車についてですが、現在、品川駅折り返しの特急ひたち・ときわ号がそれぞれ毎時1本、品川駅折り返しの中距離電車が毎時3本、上野駅折り返しの快速電車が毎時3本の合計毎時8本の列車が運行されています。中距離電車・快速電車の羽田空港駅乗り入れを確保するため、特急を除くそれぞれ毎時1本を羽田空港駅折り返しに変更します。このとき品川駅折り返しの常磐線が1本減となってしまいますが、常磐線方面から品川駅に行く場合、東京駅または新橋駅で東海道線の列車に同一ホームで乗り換えることができるため、利便性の悪化にはそこまでつながらないと考えられます。

 これにより先述の通り高崎線・宇都宮線・常磐線快速電車・常磐線中距離電車が各1本の運行本数となったほか、減便等も先述したように常磐線中距離電車の品川駅折り返しが1本減るのみで従来の利用者への影響も最小限に抑えられると思います。


上:現行ダイヤ 下:羽田空港アクセス線開業後の予想ダイヤ

(現行ダイヤの高崎線・宇都宮線はコロナ前の本数)

 使用車両については直通先の車両をそのまま使用すると仮定して、高崎線・宇都宮線方面にE231系1000番台とE233系3000番台、常磐線快速電車にE231系0番台、常磐線中距離電車にE531系を使用すればよいでしょう。


(2)西山手ルート・臨海部ルート

 まず西山手ルートについて、現時点で具体的な本数は明らかにされていませんが、渋谷・新宿・池袋などの副都心エリアからの空港アクセス需要は東京方面と同等程度が見込まれるため、こちらも片方向毎時4本の乗り入れと仮定します。

 運行形態については、現在りんかい線においては快速の川越行きが毎時3本、各駅停車の大崎行きが毎時4本の毎時計7本が、埼京線(新宿以南)においては先述の快速川越行きが毎時3本、相鉄線からの各駅停車新宿行きが毎時2本、湘南新宿ラインが毎時4本の計毎時9本が運転されています。このうち湘南新宿ラインについては、東海道線・高崎線・宇都宮線系統からは東山手ルートがあるため羽田空港アクセス線に直通する可能性が低いので、予想では除いて考えることとします。

 これを基に考えた羽田空港アクセス線開業後の運行形態としては、相鉄線からの各駅停車新宿行きを品川・東京方面に回したうえで、それぞれ各駅停車の新宿行き・赤羽行きを毎時2本ずつ乗り入れさせるのがよいと思います。相鉄線直通列車を東京方面に回すことに関しては、横須賀線の西大井駅~東京駅間の線路容量がそこまで圧迫されていないことから検討の余地はあると考えます。

 相鉄線を東京方面に回すことによって埼京線の新宿~大崎駅間の線路容量に余裕が生まれるので、そこに羽田空港駅からの各駅停車新宿行きを毎時2本運行します。また池袋などからの空港アクセス需要を拾うため、大崎止まりのりんかい線の各駅停車を折り返しが可能な引き上げ線がある赤羽駅まで毎時2本延長し、赤羽~大崎駅間については毎時2本の増便とします。赤羽駅以北は東山手ルートの列車も来るため、赤羽駅までの運行としました。

 西山手ルートにおいては先述の通り中央線特急の乗り入れ構想がありますが、埼京線から中央線に乗り入れるには埼京線の北行と中央線の上り線を跨ぐ形となって交差支障が発生するほか、中央線方面に限定した空港アクセス需要はそこまで見込めないため、乗り入れるとしても夕ラッシュ時に数本程度ではないかと考えます。

 続いて臨海部ルートについて、こちらは東山手ルート・西山手ルートに比べて都心部を通らないため需要が少ないと考えられるため、片方向毎時2本の乗り入れとします。

 運行形態に関して、京葉線は特急を除き快速蘇我行きが毎時2本、各駅停車海浜幕張行きと蘇我行きがそれぞれ毎時2本、武蔵野線直通の各駅停車府中本町行きが毎時3本の合計毎時9本の列車が運行されています。このうち各駅停車蘇我行き毎時2本を羽田空港駅に乗り入れさせます。先ほど西山手ルートにおいて大崎駅~新木場駅間の各駅停車毎時2本を赤羽駅に延長したうえで羽田空港駅発着に変更したので、新木場駅~大井町駅間で減少した各駅停車2本を補う形で臨海部ルートの列車を乗り入れさせられます。

 このとき大井町駅~東京テレポート駅間の列車が毎時5本となり若干の輸送力不足となってしまうので、大崎駅~新木場駅間の各駅停車を1本増便することで対処します。

上:現行ダイヤ 下:羽田空港アクセス線開業後の予想ダイヤ


 車両については、現在埼京線ではE233系7000番台、京葉線ではE233系5000番台、りんかい線では70-000系が使用されていますが、誤乗防止のためラインカラーで区別しやすいE233系5000番台と7000番台を使用するべきであると考えます。

4.問題点とその解決策

(1)東山手ルートにおける線路容量のひっ迫

 東山手ルートは、田町駅付近から上野東京ラインに合流し、線路を共有します。上野東京ラインはラッシュ時には3~5分間隔という過密運転が行われており、現状では羽田空港アクセス線の列車が乗り入れる余地がありません。しかし、全国で人口減少が進む今でも東海道線沿線では湘南地域などで宅地開発・人口増加が進んでおり、上野東京ラインの列車を減便するというわけにはいきません。

 そこで、朝ラッシュ時間帯には品川駅発着の常磐線のみを乗り入れさせるべきであると考えます。常磐線から品川駅へ向かう列車の本数は減少してしまうほか、南行列車においては空港利用者と常磐線の通勤客によって混雑が増大してしまうことが懸念されますが、多くの常磐線からの通勤客は北千住駅や東京駅で降車するうえ、空港利用者も多くは東京駅近辺からの乗車であると想定されることから、混雑はそこまで増大しないと考えられます。

(2)遅延の波及

 羽田空港アクセス線は多くの路線が直通するという特性上、一部の路線で発生した遅延が多くの路線に波及してしまう可能性があります。上野東京ラインなどでも同様の問題が発生しており、その場合では遅延が発生した際、東海道線を全列車東京駅折り返し、高崎線・宇都宮線・常磐線を全列車上野駅折り返しとして直通を中止することで遅延の波及を防いでいます。しかし、羽田空港アクセス線においては路線構造上直通の中止という対処ができません。

 そこで私が提案するのは、直通範囲の縮小です。東山手ルートは上野東京ラインの合流部で時間調整をして他列車に影響を与えないようにしつつ東京駅・上野駅で折り返し、西山手ルートは大崎駅折り返し、臨海部ルートは新木場駅折り返しとすることで、遅延の波及を最小限に防ぐことができます。新宿駅や舞浜駅などからは羽田空港に行くまでに乗り換えが必要となりますが、さらなる遅延による混乱を防ぐためには致し方ないと思います。

(3)誤乗の発生

 羽田空港アクセス線は3方面からの列車が1ホームに集まるため、東京駅に行きたいのに間違えて西山手ルートの列車に乗ってしまうなどの誤乗が発生する恐れがあります。

 その対策として、行先表示機や放送などによる案内を充実させる必要があると考えます。先例として、上野東京ラインと湘南新宿ラインが同じ路線を走行している東海道線・高崎線・宇都宮線では、「東京経由」の普通籠原行き、「新宿経由」の特別快速小田原行きなどというように、経由する主要駅を駅や車内などで案内しています。また、3番線から横須賀線・湘南新宿ライン・相鉄線直通列車が発車する武蔵小杉駅では、例えば湘南新宿ラインの列車では「この電車は、鎌倉・逗子方面へはまいりません。」「この電車は、羽沢横浜国大・海老名方面へはまいりません。」というような放送があります。

 これらは一定程度の効果をあげていると思われるため、羽田空港アクセス線においても、「東京・上野方面」「渋谷・新宿方面」といった案内を放送や行先表示機などで行うことや、「新木場・舞浜方面へはまいりません」といった案内を、外国人にも分かるようにそれぞれ多言語で行うことが必要であると考えます。

(4)りんかい線の買収問題

 西山手ルート・臨海部ルートは東京臨海高速鉄道の保有するりんかい線を経由しますが、りんかい線は建設の際に発生した莫大な借金の返済を行うため、他鉄道会社に比べ運賃が高く設定されています。また、現在は新木場駅でJRとりんかい線の改札口が分かれているためりんかい線を通って埼京線方面から京葉線方面へ改札を出ずに行くことはできませんが、羽田空港アクセス線の開業によって、大崎駅からりんかい線で新木場駅に行き、後から来た羽田空港駅からの京葉線に乗って舞浜駅まで行くということが可能になります。 この場合、SuicaやPASMOといった交通系ICカードによる運賃精算を行った場合運賃が最も安くなる経路で計算されるため、実際にはりんかい線経由の555円のところ、それよりも安い東京経由の396円が採用され、東京臨海高速鉄道に運賃収入が入らないという問題が発生してしまいます。この問題を解決するため、JR東日本が東京臨海高速鉄道の株をすべて買収し、りんかい線をJRの路線の一部とすることによって運賃収受の問題を解決することが計画されています。しかし、現在の借金返済ペースでは完済には少なくとも10年以上はかかることが予想されるため、2029年度に開業予定の東山手ルートに大きく後れを取ってしまいます。

 そこで、先行して西山手ルートを全線開業、臨海部ルートを新木場駅まで部分開業するのがよいと考えます。これによって運賃収受の問題を解決しつつ、副都心・お台場エリアからの空港アクセスの利便性が向上し、さらに羽田空港アクセス線利用者の通過利用によってりんかい線の収益が増加することも見込めます。それによりりんかい線の借金返済のペースを早め、完済次第JRがりんかい線を買収して臨海部ルートを全面開業する、という形で事業を進めていくことが最良の選択肢であると考えます。

5.おわりに

 いががでしたでしょうか。前回の研究に比べれば質・量ともにレベルを上げられたと思います。しかし言葉や図などが非常にわかりづらくなってしまったところがあるので、次回はわかりやすさを重視して読みやすい研究を目指したいと思います。それでは、今回はこのあたりで終わりにさせていただきたいと思います。このような拙い文章を最後まで読んでくださった皆様、

本当にありがとうございました!!

6.参考資料

・JR東日本 ニュースリリース https://jreast.co.jp/press/

・東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/

・乗りものニュース https://trafficnews.jp/

・読売新聞オンライン https://yomiuri.co.jp/

・株式会社共同通信社 https://www.kyodo.co.jp/

・鉄道ニュース【鉄道プレスネット】  https://news.railway-pressnet.com/

おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました。掲載されている情報は研究公開当時のものです。現在とは若干異なる場合があります。