ゾウの宮子 日本で一頭だけで暮らし始めて49年(インタビュー)
ゾウの宮子 日本で一頭だけで暮らし始めて49年(インタビュー)
The Animal Reader - 2022年8月28日更新
宇都宮動物園の小さな放飼場の中の宮子( Elephants in Japan )
メスのゾウ宮子は、日本の宇都宮動物園で49年間、たった1頭で暮らしている。宮子は生後わずか6カ月でタイから連れてこられた。
宮子の状況は急を要していると、Elephants in Japanの創設者であるウララ・ナカガワ氏はThe Animal Readerに次のように語った。「宮子は今49歳ですが、タイから連れてこられた生後6カ月の赤ちゃんの頃からずっと一頭で暮らしています。今まで仲間がいたことがないのです。」
宮子は狭い屋外で飼育されている。寝小屋はさらに狭く、殺風景なコンクリートの壁と床に囲まれていて娯楽はほとんどない。「宮子の放飼場はとても小さいです。本当に信じられないほど小さいのです。そして殺風景です。小さなタイヤとおしゃぶりできる柵はあります。宮子は柵をしゃぶることでストレスを発散しています。」
宮子の最近の映像をゾウの専門家が精査したところ、宮子が痛みを感じていることが分かった。「宮子の爪と足4本すべての甘爪(爪の根元の角質)はとても伸びきった状態です。これは、宮子が分単位で痛みと不快症状を感じ続けていることを意味します。」とナカガワ氏は語った。
映像は日本の夏である7月に撮影されたにもかかわらず、宮子は「震えている様子がいくつかのビデオで見られました」とナカガワ氏は付け加えた。
そのうえ、ナカガワ氏は宮子の放飼場を囲む溝がどれほど危険であるかも強調した。「殺風景な放飼場を囲むモート(堀状の囲い)は、宮子にとって非常に危険です。しかも宇都宮動物園は、一般の来園者がモート越しに宮子に餌をやることを許可しているのです。」
「そのため宮子はモートの縁に乗り、身を乗り出して、来園者の投げた食べ物を取ろうとします。身を乗り出すたびに、宮子はモートに落ちる危険にさらされています。調べによると、宮子は以前に一度だけモートに落ちたことがあります」とナカガワ氏は言う。
Elephants in Japanは、個人所有である宇都宮動物園に協力してもらい、宮子の苦しみを解決する手立てを見つけようと努力し続けてきた。
「宮子にとって最も有意義なことは、所有者である宇都宮動物園が宮子を手放し、より良い動物園に移動させることです。」ナカガワ氏は続ける。「日本にはもっと広いスペースがある動物園があります。そして、適切な指導と専門知識があれば、宮子を他のゾウとめぐり合わせて、将来的には宮子が健康に過ごせるような交流ができるようになると私は信じています。」
日本の動物園には12頭のゾウが単独で飼育されている。Elephants in Japanの使命は、これらのゾウの環境を改善することである。