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地域づくりファシリテーション研究所

第41話 研究と地域をつなぐ その2

2022.08.30 08:48

奥能登に関する研究成果を一元化し、活用しやすくするための仕組み。

それを検討する研究会の活動から何が見えてきたのでしょうか?


なんといっても、仕組みの核となるのはデータベース。

どのような研究成果があるかを一元化するための重要な道具です。


ただ、データベースというものは、闇雲に作っても活用されません。

目的を定め、その目的に合うような仕様を設計。

そして実際に構築。さらに運用していくまでには時間がかかります。

研究会では、目的、利用者層、基本的な設計方針をまず検討しました。


目的と利用者は一体です。

主たる利用者層は誰か?


この最初の論点で、すでに多様な意見が出ました。

大学などに所属する外部の研究者が主たる利用者か?

あるいは、地域内の子どもが主たる利用者か?


例えばこれら2つのどちらを想定するかで、データベースの使用は大きく変わります。

結論として、利用者は上記2つの例も含む広い設定とすることにしました。

どっちつかずの仕様になるリスクはありますが、

地域の内と外と、両方の利用者が使いやすいものを目指すべき。

そういう僕の考えを最終的に研究会として了解してくれました。


また、研究会にはデータベースの専門家にも加わってもらいました。

そのおかげで、論文など最終的に完成された成果だけでなく、

一次情報(調査データ)などもすぐ公開することで活用されやすいことを学びました。


その意味で、データベースの利用者層は検索するエンドユーザーだけでなく、

データを登録する研究者も含まれるのだという議論になりました。

みんなで作り、みんなで使いながら育てていくデータベース。

そのような概念がふさわしいのでしょう。


先進的な他地域として、長崎県対馬市の取り組みを学ぶ機会も設けました。

地域内外のすべての研究成果を、対馬学フォーラムいう毎年の催事で結集。

ポスター発表などの方法に不慣れな人には主催者側が支援。

対馬ではデータベースも構築し、運用も続けています。

ただし、対面での一元化(成果報告の集会)を最重要視しています。


別のデータベースの事例を学ぶ機会もありました。

総合地球環境学研究所の「地球環境学ビジュアルキーワードマップ」。

エンドユーザーが楽しく操作できる工夫が満載。

その仕掛けの妙を見ました。

ただし、ここでも鍵は、データベース「だけ」でないこと。

どう活用するのか、具体的な場面を予め想定するのが大切とのことでした。


結論として、データベースと活用場面は両輪のようです。

データベースだけ作っても、活用されなければ「仏作って魂入れず」なのでしょう。

僕自身にとっても多くの学びのある研究会活動となりました。