民藝としての狛犬
2022.08.30 04:00
参道狛犬について様々な角度から調べていく中で、「狛犬」をモチーフにした民芸品や工芸品が昭和期まで数多く流通し民衆に愛されていたことが分かってきました。かつての日本人にとって、狛犬は神社の守護獣に留まらず、郷土玩具として子供たちを護り、置物や調度品として家庭を護る、暮らしと共にある身近な存在だったのです。寺社に在る狛犬を自宅に置くという行為は、「仏像」のような強い信仰心を必要とせず、その姿は犬や猫のように愛らしくもあり、正に「自宅に飾るのにちょうどいい御守り」であったのではないでしょうか。時に家の守護として、時にお土産や玩具として愛されていた民藝狛犬の姿は、現在も沖縄の暮らしに寄り添い続けるシーサーのような存在であったのかもしれません。