赤絵
おはようございます。
暮らし、味わう。
民藝と発酵をモノサシに
食を通して暮らしの豊かさを提案する
古民家セレクトショップ&カフェ テマヒマ
プロデューサー、バイヤーの太田 準です。
テマヒマブログ見方の回で、松本の工藝店、
ちきり屋さんである器との出会いがあったと
いうことを書きました。
それはタイトル画像にもある露古壽窯(ろこじ
ゅがま)さんの赤絵の湯呑みでした。漆塗りの
茶托の上に乗っていたのですが棚の中から僕
を呼んでました、呼んでる気がしました。
それから2週間、色々なやりとりを経て昨日、
長岡京市にある工房にお邪魔してきました。
露古壽窯は現在息子さんの西堀志伸さんが継
いで京丹波の地で作陶されていますが、今も
赤絵のお仕事はお父様の西堀寛厚さんがされ
ています。
ろこじゅ窯という、ちょっと変わった名前は
ギリシャ語のロゴスからきてるとのこと。学生時代、柳宗悦の民藝に出会い傾倒し、柳の
民藝思想はつまりロゴスという言葉に集約さ
れると考えたそうです。動的平衡で有名な福
岡伸一さんが、ポストコロナの生命哲学の序
の部分で、
経験から同一性を抽出して法則化し、特殊を集めて一般化し、本来は全て一回性の偶然である自然の中で、因果律を生み出した。つまり自然(ピュシス)を論理(ロゴス)に変えた。(略)ロゴスこそが人間を人間たらしめた最大
の力だ。
としていますが、自分の審美眼に沿って直観
で選んだものに民藝と名づけ、その美につい
て法則性を見出したり言語したりしたという
意味でなるほどロゴスと言えるかもしれませ
んね。
一方、現在のコロナ禍で特に露見したのは、
同じく福岡先生の言葉を借りれば、あまりに
ロゴス化し過ぎた為に、
ロゴスはロゴスで制御出来ないこと、予測出来ないことを極端に恐れる。それはピュシス(自然)が本来的に持つ、不確かさ、不安定さ、気まぐれさだ。ウィルス同様、人間の身体自体も制御不能な
自然物(ピュシス)だと続き、”自然の歌を聴け
“と訴えるのですが、柳のみた美は、人間の作
り出したモノではあるが、自然に寄り添う、
生み出されたピュシスの美であるとも言える
気がしてきます。
西堀寛厚さんは、大学卒業後、陶工訓練校や
清水焼窯元の修行を経て、昭和44年に開窯し
ましたが、件の湯呑みは実はその当時から作
り続けている、つまり50年以上に渡って作ら
れたもの、もう何十万個も作ってきたのじゃ
にないかなと仰ってました。長年に渡り積み
重ねられた美しさがそこにはあるのでしょう
ね。ちなみにこの文様、花文と名づけられて
ますが、具体的に何の花ということはないそうです。
お邪魔した工房はこれまで見た中で1、2を争う美しさ。益子の伊藤丈浩さんの工房は飛び
抜けてたなぁ。とても整理整頓されていまし
た、特に作品が種別に並んでいるのは初めて
。写真は撮ってないですが書斎の蔵書にも圧
倒されました。雑誌民藝のバックナンバーも
ここまで揃ってる人はいないんじゃないかな
ぁと仰ってました。
最後に西堀さん親子の記念写真を。昨日はお世話になりありがとうございました!
赤絵はテマヒマでは初ということもあります
が、これまでには無い雰囲気では無いでしょ
うか?赤という色はどこかおめでたい印象が
ありますが、普段使いして頂くことでアクセ
ントとなってお料理や食卓が華やぎます。
昨日選ばせて頂いた器は早速並べて、今日か
らご覧頂きます。是非お手に取ってご覧ください。昨晩インスタではご紹介しましたが、
お取り置きや通販のお問合せもお気軽にお問
合せください。
テマヒマは今日も11時オープンで皆様のお越
しをお待ちしております。ご予約状況ですが
ランチの11時半が1組、カフェの14時が1組のみですのでお席にかなり余裕がございます。
生憎の雨予報ですが、お越しをお待ちしてお
ります。
それでは、好いモノ、好いコト、好いトキを
テマヒマで。今日も好い1日を!