『W旦那+(プラス)』第140話 三代目妄想劇場
2018.02.16 01:00
隆二「…ごめん…頭の中が真っ白で…
言葉が出てこない…」
理愛「無理もありません」
「一度に沢山の情報をお伝えして、すぐに答えを出すなど、とても不可能な事です」
臣は何も言わず、理愛に抱かれた男の子の顔をじっと見ている…
理愛「記憶喪失のフリをして、5年間もお二人を騙し続けたのも事実ですし…」
「いきなりお二人の子供です…って紹介されても、頭が混乱して整理もつかないでしょう」
理愛は臣の顔を見て、悲しそうな表情を浮かべた。
「あの日…夫は独断で、サキュバスを派遣しました」
悪魔が臣に接触した日のことだろう。
理愛「想定外の事で防ぎようがなかったとはいえ、大変に申し訳ないことをしました」
直己が、臣から離脱した悪魔を斬ったあの日から、もう二年経つが、
臣の頭の中はずっと靄(もや)がかかったような状態だった。
隆二と二人でいる時も、いつも心ここにあらずで…
まるで夢の中を彷徨っているような感覚でいた…
理愛「お顔を拝見して、すぐにわかりました」
臣「……」
理愛「広臣さんはまだ…完全に戻っていないんですね」
臣は何も返さない…
ただ、自分に生き写しの男の子の目をじっと見ている…
隆二「臣…やっぱそうだったんだ…」
隆二は理愛に話した。
「日常生活やアーティストとしての活動には何ら支障はなかったんだけど…」
理愛「…大切な事を思い出せないままなんですね…お気の毒なことをしました」
隆二「臣は……もう戻らないの?」
理愛「それは…私にもわかりません」
隆二「……」
End