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空想都市一番街

出会った日のこと

2022.09.01 13:01

音楽ユニットAZEMICHIをルイと始めたのはタクヤが22歳の頃。

まだアートスクールで歌を学んでいる学生の時だった。


駅前でキーボード弾き語りをしているルイに偶然出会った時、タクヤはこの人だ!と思ったのだ。


それから最後の演奏まで聞いた後、他のお客さんをかき分けてタクヤは、メモ用紙をルイに渡した。


名刺なんて持ってないから、タクヤはそこに自分の名前と連絡先を書いた。


「俺ボーカルなんです。俺と音楽やりませんか?ぜひ!あなたのピアノ素晴らしかった!」


興奮してうまく言えなかったけどタクヤは精一杯感動を伝えた。


ぽかんとメモを手にしてタクヤを見ていたルイは、ふふ、と微笑んだ。


「うん、分かったよ。じゃあ今何か一緒にやろう。君の歌を聞かせて」


今!


予想以上の答えが返ってきてタクヤはびっくりしたけど、気を取り直した。


「じゃあ、デスペラード出来ますか。俺の好きな歌なんです」


ルイはニコッと笑ってうなづいた。


「イーグルスの名曲だね。じゃあ、始めよう」


ルイの静かな前奏、そして

タクヤの歌。


ルイを目当てで来ていたお客さんも全員足を止めて聴いていた。

ルイの優しいピアノに、タクヤのソウルやR&Bがルーツにある、心に訴えかけるような歌はとても合っていた。


ルイのコーラスもとても合っていた。


始めて合わせたなんて思えなかった。

静かに歌い終えたとき、自然とお客さんから拍手が起こった。


それもたくさん。


タクヤとルイは顔を合わせて笑った。

この日から、二人は意気投合。


AZEMICHIと名前をつけ、活動していくことになったのでした。