ヴラド・ドラクラ 第1巻感想
2018.02.15 14:51
ヴラド・ツェペシュとかエリザベート・バートリは、ヴァンパイアものや猟期・怪奇でその名があげられることが多いですよね。島田荘司(著)「アトポス」では、本編の前に綴られたバートリの物語が、作品全体の空気を牽引していました。
彼らが主人公のお話を、私は読んだことがない気がする。
本作がおそらくは初めて。
舞台は小国ワラキア。戴冠したばかりの若き君主ヴラドが、後年の苛烈さの片鱗を覗かせるところで第1巻は終了。
大国の情勢に揺れる小国の統治は乱れ、君主の在位が平均して約3年という混乱状態。混迷を極めていく中で、失墜した君主から税を掠め取って権勢を強めたのが地主貴族たち。
ヴラドを侮り君主の権威を蔑む貴族たちの彼らの横槍を受けながらも、長年の友人であり、隣国からの亡命者であるシュテファンの公座の奪還に成功する。
*画像はAmazonより*
この頃のヴラドは、清廉潔白とは言わないまでも、知恵をつくし策謀を巡らせて目的を果たそうとしている。
一方で、裏切った貴族にその同志の首を短剣で落とさせたり、兵として募った浮浪者たちが城ごと焼き討ちにあっても予測しているようすだったり……串刺し公の呼び名をうかがわせる気配もある。
権謀術数が幾重もの螺旋を描いて絡みあう薄暮の時代、結末はわかってはいても、その過程がどのように紡がれていくのか楽しみです。
次巻も心待ちにしてます!