意図の分かる広告には納得感や共感を抱き、そうではない広告には違和感を感じ行動を促すことはできない
ファッション誌は想定ターゲットに
どのようなワードでアプローチをすると
有効であるかを知るのに
非常に有効な媒体である
職業柄街中やネット上にあふれる広告物には注意を向けてみているのですが、特に注意深く観察しているのが女性誌の広告なのです。
なぜかというと私は男性なので当たり前ですが女性用の化粧品は使わないですし、女性向けの商品やサービスを利用することがないので、女性たちがその商品やサービスを選びたくなるのかその基準が分からないため、どのような言葉に惹かれて商品やサービスを思わず選んでしまうのだろうか……ということを知りたくてよく女性誌の広告だけでなく雑誌の中身までもしっかり見ているのです。
特にファッション誌は性別や年齢などのターゲットが明確に設定されており、雑誌のターゲットとなるそうがどのようなことに興味を持っているのか、またそのターゲットに対してどのような流行を仕掛けていこうとしているのかなどを知ることができる、非常に有効な参考資料とも言えます。
ターゲットが明確になっている広告の意図を読み取るトレーニングをすることで自社の商品・サービスの
魅力発信の勘所をつかめるようになる
当たり前のことですが、雑誌には様々な商品やサービスの広告が掲載されています。
これまた当たり前のことですが、ターゲット・読者層がはっきりしているからこそ、そのターゲット・読者層から外れる商品やサービスが掲載されることはまずありえまません。
CanCamやan・anなどの女性向けファッション誌にジレットの髭剃りの広告が掲載されることはないでしょうし、MEN'S CLUBやLEONなどの男性向けファッション誌にマスカラの広告が掲載されることもありえないでしょう。
年齢や性別などターゲットが明確にセグメントされているファッション誌は、その雑誌が読者として想定している性別・年齢層が好みそうなもの、そのターゲット層に向けて売りたい商品やサービスが掲載されているので、市場調査に非常に向いていると前述いただきました。
それほどターゲット雨層が明確になっている媒体において、かなりの費用をかけてまで広告を掲載したにもかかわらず、もったいないクリエイティブで高校を出稿しているなぁ……と感じたものと、これは潜在的な意識にも訴えるようなコピーとビジュアルがリンクしている! と感心した広告について、普段私自身が集客アップと売上アップにつなげるために広告物を作成させていただいている立場から、二つの広告について解説をさせていただきます。
あなたの制作している販促物はコピーとビジュアルが違和感なくリンクしていますか?
一つ目は残念だと感じた方の広告です。
「Emirates」という航空会社の広告で、以下が今回の広告のコピーです。
◎メインコピー
その瞬間、魔法にかかる、ドバイ。
◎ボディコピー
暮らすように、旅する。
日常を離れて、自分をリセット。
白い砂とクリアブルーの海やナイトクラブ。
広大なショッピングモールに世界各地からのグルメ。
ドバイでは、大人女子でこそ楽しめる冒険や楽しみがあなたをお待ちしています。
フライトのご予約は今すぐemirates.com/jpで。
このビジュアルとコピーの背景となっているところは、噴水の後ろのうっすら見えている建物の回数から想像すると6〜7階建ほどにも及ぶ噴水を船に乗って目の前で見られるところが
「魔法にかかる」「日常を離れ」
というワードを連想させる部分なのかと想像するのですが、このような噴水はドバイでなくとも福岡にお住いの方であればキャナルシティというところでも見られますし、おそらく世界中のいたるところにあると思われ、わざわざドバイに行かなくても見られるものと思われます。
それよりもむしろボディコピーの中にある
「白い砂とクリアブルーの海やナイトクラブ。広大なショッピングモールに世界各地からのグルメ」
とあるようにドバイならではの、ザ・パーム・ジュメイラやブルジュ・ハリファなどのドバイに行かないと見られない風景や施設などの写真を活用したほうが、
「ドバイならでは、ドバイでないとできない体験」
をビジュアルでイメージし、そしてコピーで
「魔法にかかる」「日常を離れて」
という部分をより感じ理解することができると思うので、ビジュアルとコピーの整合性がとれて納得感も高まり、ドバイに出かけたいという気持ちにさせるのではないかと感じた次第です。
もう一つはキチンと設計がされていると感じた広告です。
「BENEFIQUE」という化粧品の広告で、以下が今回の広告のコピーです。
◎メインコピー
さらりと入る。うるおいめぐる。
◎ボディコピー
さらり、すーっ。たぷん。
まるで肌に消えていくような驚きの感触こそ、ハイドロジーニアスの特長です。
ピコモイスチャー技術を搭載。
ピコ単位のうるおいが、速く、すみずみまでめぐります。
指先を通して満ちていく、渇きを忘れる日々への予感。
ピコモイスチャー体験。ハイドロジーニアス。
普段広告を制作する立場から、何に対してキチンと設計がなされていると感じたのかというと、まず右ページのコピーとビジュアルですが、
「さらりと入る。うるおいめぐる。」
というコピーに対して、商品のバックで新体操のリボンのようなものが渦を巻いているビジュアルになっておりますが、これがこのコピーの裏付けとなっていると感じたのです。
螺旋状に渦巻く写真を使用することで肌の奥深くまで浸透することや、潤いがめぐることを潜在的に訴求しようという意図があると想像しました。
また、左ページのコピーですが、「ピコモイスチャー技術」というのがおそらく独自の技術でこの商品の特徴なのでしょうが、例えばその技術が今までの美容液と比較した際に何分の一や何十分の一、何百分の一のサイズに美容成分を小さくすることができる技術で、より肌の奥深くに浸透するというものだったとしても、その数字的な裏付けを具体的な数字で表現するのではなく、
「さらり、すーっ。たぷん。」
という、使っている最中に感じられる使用感を擬音で表現することで、数字で表現するよりもより直感的に肌に浸透しやすいというイメージづけをする表現をしているところが、非常にうまく設計しているなと感じた部分でもあります。
そう感じさせる裏付けとなっているものが、
「ピコモイスチャー技術を搭載。ピコ単位のうるおいが〜」
という部分で、パナソニックの商品シリーズに『ナノイー』というものがあり、非常に小さな単位のものに「ナノ」というものが使われているというのをご存じの方も多いと思うのですが、「ピコ」とはナノよりもさらに1/1000の小ささという単位であり、具体的な大きさの単位は知らずとも、通信容量のキロ→メガ→ギガ→テラなどと同じように、すべての人が知ってる単位ではなくとも知ってる人は知っている情報をきちんと表記することで、
「さらり、すーっ。たぷん。」
と感じる裏付け、安心感を与えるように設計をしているところがウマいなと感じ、肌の潤いに悩む女性は商品名を記憶したり、実際に売り場で試したり最終的に購入する方もいるだろうなと感じた次第です。
上記に挙げたものが100%正解かは、この広告を制作されたクリエイターの方に聞かない限り分かりませんが、おそらくほぼ間違っては無いと思われます。
なぜなら私もクライアントからチラシやホームページなどの販促物の制作依頼を受けるときには、クライアントの商品やサービスを活用したり購入したいと思われるお客様はどのような方でどのようなことを悩まれ、どのように悩みや問題を解決したいのか、より快適な状態になりたいのか、どのように変化したいのか、ということをトコトン想像して販促物を制作するので、
『ウマいなぁ!』とか『天才的だなぁ!』
と関心をさせられる広告物には、ナゼこのような表現を選んだかという意図を感じ取ることができるのです。
多くの人たちがブログやフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどの自分のメディアを持ち、自分のお役に立てることや得意としていることを発信できる世の中となっている中で、ご自身の提供する商品やサービスを使っていただきたいと想定しているターゲットの方に、より分かりやすく自分のための商品やサービスだ! と感じていただける情報発信をできるようにするために、街中やネット上に溢れている広告物の意図を読むようにして見てみると、分かりやすい伝わりやすい広告とそうでは無い広告の見分けがつけられるようになり、ご自身の情報発信の仕方や販促物の作成に活かせるようになると思いますので、是非今日からそのようにして世に溢れている広告に目を向けられてください!