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Oimachi Act./おい街アクト

おそらく一万人に一人の女の子だったと思う。

2022.09.06 03:00

「まあ~、カワいい!女の子みたい」こう言って僕の座っている席の前のイスに座り、こちらを向いて話かけてくるのだ。

 

その女の子は全校で一番の美人、可憐、賢い、細身で足が長くスタイル良し、ファッション・センスあり。

そんな女の子から気に入られてしまった。

 

これは小学校5年生の時の学芸会の催し物。いわゆる和製ショート・ミュージカルの役者選びのための集まりでの出来事だった。

 

2つの演題があり、彼女は「花咲かじじい」。

僕は「稲葉の白兎」に決まった。

 

この女の子はまるで芸能人、"芸人"のような身のこなし、キレの良い動作、軽い足取り、表情は真顔でキメている。

 

舞台での彼女は別人のように、自分の世界に入っていた。

 

「天性の芸人」という言葉があるなら、彼女をそう呼ぼう。

クラスが違うので、たまに廊下で会ったりはした。

 

5年生の運動会、「オクラホマ・ミキサー」という曲でフォーク・ダンス。

6年生が冷やかす。

 

このフォーク・ダンスで「天性の芸人」との組み合わせが回ってきた。

オーバーな言い方をすれば、こちらが何もしなくとも、すべて彼女がリードしてくれる…。

ダンスの講師のような人だった。

 

"高値の花"というにピッタリ(僕にしてみれば)の、スター並みの容姿と踊りと才能と、その芸に対する入れこみ方…。

 

中学、高校とお嬢様学校に進学したまでは聞いている。

 

普通に結婚したとは思えない。海外生活を送り、役者となったか、あるいは外人と結婚したか、そう考えないと辻褄が合わない女の子だった。

 

「ねえ、名前教えて!」「何組?」。

僕は「イヤ!」と言ったのだった。

 

今日はビージーズで「若葉のころ」を聴いて下さい。